子の「話す英語」習得を重視する親に伝えたい盲点 人気講師「関正生」が教える、小中学生の学習法

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そもそも英語のプロだって、4技能がすべて優れている必要はないのです。同時通訳者は「聞く・話す」に特化したプロですが、4技能すべてに秀でているわけではありません。もちろん「読む・書く」も相当優れているでしょうが、「聞く・話す」のレベルとは限りません。

例えば同時通訳者にとってTOEICテストのリスニングは全問正解が最低条件です。しかしリーディングはそうではありません。通訳者でもTOEIC満点でない人はゴロゴロいるのです(プロフィールに「TOEICリスニングパート満点」と書く人も少なくないので、それはつまりリーディングでは失点しているということです)。

逆に、受験指導をしている予備校講師なら文法問題は満点が当たり前ですが、TOEICテストのリスニングで満点を取れる人はほんの数%でしょう。つまり、講師業では「読む」と、たまに「書く」に特化していればプロとして食べていけるのです。英語のプロでもこの有様ですから、それを小中高生に要求するのは酷なことです。

まして小学生なら、強みを伸ばすことだけに専念したほうが絶対に良いです。弱点克服など、どんなに早くても中3になってからで十分です(高校受験で弱点克服が必要な場合でなければ高校・大学からでかまいません)。

「話す」ことにこだわらない

今はどうしても「話せるようになる」ことを重視する風潮がありますが、「読む・聞く・書く・話す」の4つの技能に重要度の差はいっさいありません。日本語で考えてみればわかりますが、話すのが苦手でも素晴らしい文章を書く人はたくさんいますし、逆もしかりですよね。われわれ日本人の日本語だってバランスが悪いのに、英語だけバランスよくというのは無理があります。

もちろん、受験になると「読む」がメインになるので、中学になれば「読む」勉強をメインにする必要がありますが、それまでは好きなことに「全振り」したほうが絶対にうまくいきます。受験ではメインにならない「聞く・書く・話す」から英語が好きになっていれば下地ができますし、何より「自分は英語ができるんだ」という心の支えが大きな強みになるからです。

ある技能に「全振り」した場合、「学校で評価されない技能を伸ばしても成績に反映されないので、学校の成績が心配」と考える方もいるでしょう。将来を考えれば、学校の一度や二度の成績は無視していいと思いますが、実際には小学校程度の英語の内容であれば、どれか1つの技能に秀でていれば他の技能もカバーできてしまいます。小学校英語は、4技能を個別に測れるほど高度な内容ではないからです。

この具体例として2つのことを挙げてみます。

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