勝田線が「廃止すべきでなかった」と言われる由縁 鉄道とは関係なくベッドタウン化した沿線
西鉄バス34系統は吉塚駅の駅前広場には入らず、駅から歩いて数分の吉塚通り(県道吉塚篠栗線)にある吉塚駅東口バス停に発着する。
運転本数は上宇美(旧勝田線宇美駅最寄り)行きがいちばん多いが、原田橋(同筑前勝田駅近く)や障子岳、極楽寺など、新興住宅街の中にまで直通する便も少なくない。すべて合わせて、1時間につき2ないし3往復が宇美町の中心部まで走る。
まずは、吉塚駅東口10時48分発の障子岳行きに志免役場前まで乗ってみる。一般的に空いているとされる、お昼前の都心部から離れる便だが、数人の先客がいた。国道3号と交差し、二又瀬を過ぎると右折。県道福岡太宰府線に入り、福岡市から志免町へと進む。亀山バス停付近で寄り添ってくる遊歩道が、勝田線の跡だ。前述の32系統も亀山から合流する。
だが、廃線跡より重要なのは、この付近のすぐ西側に福岡空港があること。亀山バス停からだと1kmあまりしか離れておらず志免町や須恵町から福岡空港の国内線ターミナルへ直通する系統も、西鉄バスは走らせている。飛行機を利用する場合のみならず、それらの路線バスを使えば福岡市営地下鉄空港線に乗り継げるのだ。
都市高速経由の天神行きも走る
志免役場前で降りると、旧志免駅跡に造られた志免鉄道記念公園が近い。町のシンボルである、国の重要文化財に指定された志免鉱業所竪坑櫓も駅跡から眺められる。ただ周囲はロードサイド店が林立し、住宅地が一面に広がる、大都市近郊によく見られる風景だ。寂れた元炭鉱町の雰囲気は微塵も感じられない。幹線道路の通行量も非常に多く、バスもしばしば渋滞に巻き込まれ、遅れがちになる。
下志免で宇美町方面へのバスを待っていると、370と系統番号を掲げたバスが現れ、交差点を西へと曲がって去って行った。福岡都市高速経由で上宇美と天神を結ぶ系統で、平日は主に早朝〜午前中と夕刻以降に設定されている。1時間に1本程度が基本だが7時台には3本が走り、下志免から天神までは約30分で到達し、約50分かかる32系統よりかなり速い。一方、一般道経由の32・34系統は平日7時台には併せて10本。日中にも毎時4本程度の便があり、運転頻度が高い。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら