政府に情報を上げなかった東電の初動に疑問--フランス高級紙ル・モンドは大震災をどう伝えたか、駐在記者に聞く

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--日本政府の対応についてはどう見ていますか。

政府は始めのうち、東電のことを信用しすぎたのではないでしょうか。東電は危険の影響度やリスクの大きさをうまく推し測ることができなかった。結局、3日間で3つの原子力発電所が爆発してしまった。それは大変なことです。

菅首相が東電本店に乗り込んで怒りましたね。それが結果として情報の透明性をある程度は高めたと思います。東電は事故の発生当初、自分たちだけですべて解決できると考えたのでしょう。その結果、報告が遅れた。
 
 これに対して菅首相が怒ったのは、誤った行動ではなかったと思います。これが対応のよくない政府であれば、「ひとまず待ちましょう」となります。でも、今回は急を要する、非常に危険な状況でした。

「菅首相が怒ったことで東電が萎縮した」などと批判するのは簡単です。菅首相は先頭に立って災害に対処しなければならない。そして、原発の危機に素早く反応し、成果を挙げることが大事なのです。

--現段階では政府の危機管理能力を評価するのは難しいのでしょうか。

そうですね。やれるだけのことはやっていると思いますが、状況があまりにも複雑ですから。菅首相も原子力のエキスパートではありませんし…。

ただ、首相が東電に対して怒ったのは、自分への報告が遅すぎたからです。東電はすぐに情報を上げなかった。現在は国家の危機。そうしたときに政府は、最初に情報を知っていなくてはならない立場です。国民よりも前に…。
 
 それなのに、テレビを見たら煙が上がっていた。それで原発の爆発がわかり、東電は「爆発しました」と連絡を入れた。これでは首相が怒るのも無理はないでしょう。

首相はすべての国民の健康状態に責任を負っている。政策の責任者なのです。当事者の東電がきちんと仕事をしなかったのが問題なのです。

■日本には再建に必要な頭脳、才能、想像力がある

--NHKの災害報道に関する記事の内容は。
 
 津波のような災害における情報提供という面で重要な役割を果たしていることに触れました。津波がいつ到達する可能性があるのか、それは視聴者にとって重要なことです。災害時には絶えず、そうした情報を流すことが大事なのです。教育番組などを削って津波情報に関するメッセージを流す。それが公共放送の重要な使命です。

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