U-NEXTとParavi統合で「国内ドラマ」何が起こる 「大胆予想」テレビ局系サービスは1つになる?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「我々は先行投資型というよりは、着実にサブスクを増やし、ユーザーの伸びに合わせてコンテンツ投資するやり方。よく言えば堅実に、悪く言えばあんまりレバレッジをかけずにやって来ました。ただ、次にNetflixなど海外勢と本気で対抗するには、もう1段プラットホームの規模を大きくし、会員数400万、500万の規模で売上1000億以上のスケールにならないと、彼らに対抗できない。今回の提携をきっかけに早期にそのフェーズまで行けるかどうかです」(堤社長)

Paraviとの統合で会員数は370万人以上になるので、400万はそう遠い話ではない。テレビ局との共同制作も想像でき、オリジナルコンテンツは近いうちに期待してよさそうだ。一歩一歩堅実に無理せず進んでいく姿勢で、ようやくオリジナルに取り組むステージが見えてきた様子だ。

オリジナル制作について堤氏が注目しているのが、「出版文化」だという。実はU-NEXTには電子書籍サービスもあり、雑誌やマンガ、小説などの書籍も扱っている。既存コンテンツを出版社から提供される中に、オリジナルの漫画や小説の提供も始めているのだ。

U-NEXTのオリジナルコミックレーベル「U-NEXT Comic」(編集部撮影)

「日本の出版文化はすごくユニークで、特異的に発達してる国。そこがIPを生む源泉になっています。足元で始めたU-NEXTオリジナルのコミックを中心に小説も含めた、出版に近いところでオリジナルのチャレンジをしてみるつもりです。デジタルの時代になって、出版と映像が有機的に繋がることでより加速すると思ってます」(堤社長)

海外戦略も視野に入れ、次のステージへ

ハリウッドにはNetflixを「IPを生み出していない」と揶揄する声もあるという。「作品をいっぱい作ってるけど5年、10年続くようなIPは今のところ生まれてないじゃないか」と言われているそうだ。短期的な視点で人が集まるコンテンツを製作し、IPを育てるよりその期間に会員数が伸びたかに軸を置く。

実は今、日本の出版社の一部には、自分たちが開発したIPを自分たちで映像化していく動きが出てきている。それは世界市場も視野に入れての考え方のようだ。

堤氏は海外戦略も持っているのだろうか。

「当然今年や来年の時間軸では、考えてません。でも国内で一定のシェアを取ってもう1段上にスケールさせる上では、アジアを中心とした海外市場をどう取り込むかを考えたい。自ずから必要になってくるとは想像しています」

具体案はないが、視野には入れているというところのようだ。

Paraviとの統合を機にU-NEXTは次のステージに進みそうだ。いよいよオリジナル製作に乗り出し、しかも自社IPの開発も考えている。一方既存サービスの業界再編、あるいは別のプレイヤーたちの動きも気になる。単純な会員数競争の段階は終わり、ビジネスモデルの再構築も含めた変化が起きそうだ。テレビで配信サービスを見るのが当たり前になり、市場規模も新たな成長に入るだろう。次に何が起こるか、期待したい。

境 治 メディアコンサルタント

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

さかい おさむ / Osamu Sakai

1962年福岡市生まれ。東京大学文学部卒。I&S、フリーランス、ロボット、ビデオプロモーションなどを経て、2013年から再びフリーランス。エム・データ顧問研究員。有料マガジン「MediaBorder」発行人。著書に『拡張するテレビ』(宣伝会議)、『爆発的ヒットは“想い”から生まれる』(大和書房)など。

X(旧Twitter):@sakaiosamu

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事