日銀重視の基調物価指標1月3.1%上昇伸び横ばい 過去最高を更新した前月比横ばいと高水準維持

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2%の物価安定目標を掲げる日本銀行が消費者物価の基調的変動の分析で重視するコア指標のうち、将来の予測に有効とする「刈り込み平均値」は1月に前年同月比3.1%上昇した。伸び率は過去最高を更新した前月から横ばいとなった。「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」を28日公表した。

刈り込み平均値は、昨年12月に3%を超え、11カ月連続でデータがさかのぼれる2001年1月以降で最高を記録していた。同指標は価格変動が大きい上下10%の品目を異常値として機械的に除き算出する。

品目別価格変動分布で最も頻度の高い価格変化率を示す「最頻値」も前月から横ばいの同1.6%上昇。中央値の近辺にある価格変化率を加重平均した「加重中央値」は1.1%上昇と、前月(同1.4%上昇)から鈍化した。上昇品目数の割合も80.3%と、前月(同81.2%)から低下した。前月はいずれも過去最高だった。

次期総裁候補に指名された植田和男氏は24日の衆院議院運営委員会における所信聴取と質疑で、今後の金融政策は経済や物価情勢次第とし、特に物価の基調的な動きを重視する考えを表明した。27日の参院議運委では、引き締め方向へ見直すには「基調的な物価の判断が大きく改善することが必要」と指摘。足元の消費者物価の上昇率は4%程度だが、基調的な動きは物価安定目標の2%とは「間がある」と語った。

  

日銀は金融政策運営にあたり、総務省が公表する生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)とエネルギーも除くコアコアCPIに加え、他の一時的要因の影響を取り除いたコア3指標を独自に作成し、消費者物価の基調的な動きの把握に役立てている。

原材料高や円安などのコストを価格に転嫁する動きが進む中で、1月のコアCPIは前年同月比4.2%上昇と、第2次石油危機さなかの1981年9月(4.2%上昇)以来、41年4カ月ぶりの高水準となった。コアコアCPIは同3.2%上昇と、90年3月(3.2%上昇)以来の高い伸びとなった。

日銀は1月に公表した新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、2022年度のコアCPI上昇率の見通しを3.0%と従来の2.9%から上方修正した。23年度は1.6%に減速し、24年度に1.8%に伸びが拡大すると見込むが、黒田東彦総裁は2%物価目標を「持続的・安定的に達成できる状況は見通せない」としている。

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--取材協力:.

(詳細と説明を追加して更新しました)

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著者:関根裕之

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