韓国出生率0.78と前年比さらに低下し過去最低 経済成長と活力脅かす少子化に歯止めかからず

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韓国の2022年の合計特殊出生率(暫定値)は0.78と、前年からさらに低下して過去最低を更新した。韓国統計庁が22日発表した。減少傾向に歯止めがかからず、同国経済を脅かす少子高齢化問題が一段と深刻化した。

一人の女性が一生のうちに産む子どもの数を表すこの数値は21年時点で0.81と、世界銀行が調査する260カ国余りで最低水準となっていた。

低い出生率は経済の成長と活力を支える労働力の縮小につながることから、経済への長期リスクとなる。また高齢化に伴う社会福祉支出の拡大は、経済繁栄の鍵となる事業や研究開発の促進に充てる予算を圧迫し得る。

既に韓国の労働人口縮小は国内経済の潜在成長率低下の主要因となっている。韓国統計庁によると、同国の労働年齢人口は2020年の3730万人でピークに達し、70年までにほぼ半減する見通し。

同庁によれば、昨年1年間に生まれた子どもの数は24万9000人と、全人口の5%未満にとどまった。一昨年は26万600人だった。一方、昨年の死亡数は約37万3000人となり、政策当局者が「デスクロス」と呼んだ死亡数が出生数を上回る状態が続いた。

国連の予測と世界銀行のデータによると、国民一人当たりの国内総生産(GDP)が3万ドル(約400万円)以上の国・地域で韓国は最も速いペースで人口が減少しており、2100年までに同国の人口は53%減って2400万人になる見通し。19年時点では43%減と予想されていた。

関連コラム:

  • 【コラム】子供関連予算の増額、少子化対策に有効か-リーディー

原題:South Korea Fertility Rate Falls Again, Adding to Economic Risks(抜粋)

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著者:Sam Kim

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