足踏みする日経平均を押し上げる「新たな追い風」 コロナ後の「上昇トレンド」はまだ継続している
さて2月20日以降、当面の相場はどうなるだろうか。引き続き、アメリカの物価動向が焦点になるとみられる。1月の消費者物価指数の上昇率は前年同月比6.4%と前月の6.5%から鈍化したものの、伸び率は市場予想を上回った。これによってFRB(連邦準備制度理事会)の利上げ継続観測から、「ターミナルレート」(利上げの最終到達点)予想は5.00%から5.50%まで引き上がっている。
今週はアメリカ市場が20日はプレジデント・デーで休場。一方、日本市場も23日が天皇誕生日で休場という変則週だ。その中での注目材料は、前半では独・仏・ユーロ圏・英・米2月の購買担当者景気指数の速報値だろう。全般的に1月は速報値よりも改定値が回復傾向だったが、2月もその傾向が続くのかが焦点だ。
後半は23日に発表されるアメリカの10~12月期GDP(国内総生産)改定値、24日の日本の1月消費者物価指数、アメリカの1月の個人消費支出(PCE)価格指数に注目だ。昨年12月のPCEは前年同月比5.0%上昇、食品・エネルギーを除くコアは同4.4%上昇だった。1月のコア指数上昇率の市場予測は4.3%程度だが、この予測に近い数字が期待される。
日本株は「低PBR問題」解決が強い追い風に
一方、日経平均については、以前に比べてチャートの形がよくなっている。早速20日には、長期の200日移動平均線を短期の25日移動平均線が下から上に突き抜ける「ゴールデンクロス」が実現しそうだ。これは上昇の典型的なシグナルだ。場合によっては75日移動平均線も抜くかもしれない。
しかも、日本市場には明確なテーマが現れた。「上場企業の低PBR(株価純資産倍率)問題の解決」だ。昨年以降、東京証券取引所は企業に対して資本コストを意識した経営をするように促す方針を打ち出しているが、この春以降はこの取り組みが本格化する見通しだからである。
PBRは株価が資産の何倍まで評価されているかを表す指標であり、これが1倍未満なら株価が解散価値を下回り、企業が資産を効率よく使えていないことを示す。
今の東証プライム市場の平均PBRは約1.17倍であり、1倍割れ銘柄は半数近くにのぼる。PBRは企業評価のファンダメンタルズの1つとして昔から使われてきたが、即効性のある指標ではなかった。だが、過去のインフレ相場のときには強く意識されており、今回のインフレ相場の始まりを感じたか、昨年からはとくに注目度が増している。
PBRを上げるには、ROE(自己資本利益率)を上げる、あるいは増配や自己株買い・消却を執行することに尽きるが、市場にとっては即効性のある大きな期待材料だ。現在、銀行株が水準訂正しているのはその代表例といえる。
筆者も昨年後半からとくに重視していたが、予想よりも早くこの低PBR問題が表面化したことで、低PBR改善期待から買われて人気化する銘柄が次々に出てきている。PBRは一般投資家にもすぐわかる指標なので、日経平均やTOPIX(東証株価指数)が上放れをするうえで、極めて大きな要素になりそうだ。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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