「自分らしさからかう人」医師が語る上手な接し方 相手の「普通」に無理になじもうとしなくていい
誰かの権利に害を加えるような行為は、重大な問題です。自分が攻撃されたときには、対処しなければいけません。そしてまた、みなさんも誰かの権利に危害を加えることのないように注意する必要があります。
自分らしさを大切にするのはいいのですが、だからと言って、自分と考え方が違う人の尊厳を否定してはいけません。
例えば「あの人の考え方は合わない」「見るのも嫌だ」と感じるような相手がいたとして、その人に対して「お前には生きている価値がない」「死んだほうがいい」などと言うこと。それは相手の尊厳を攻撃する発言であり、許されない行為です。自分もほかの人に「嫌な関わり方」をしないように、気をつけましょう。
自分の「自分らしさ」を大事にするためには、ほかの人の「自分らしさ」も尊重しなければいけません。相手に考えを合わせる必要はないのですが、相手の考えを認めて、リスペクトする必要はあります。そうすることで、自分もほかの人も、それぞれに自分らしくやっていけるわけです。
世の中にはいろいろな「普通」がある
クラスの多くの子たちの「普通」になじめないと、「自分は変なのかも」と思うこともあるかもしれません。でも、これまでにも書いてきた通り、世の中にはいろいろな「普通」があります。
もしもいまいる場所、いまいるグループに居心地の悪さを感じたら、ちょっとだけ動いて、隣の「普通」を見てみましょう。そこには、あなたにフィットする世界があるかもしれません。
大人になれば、世の中には多様な人がいるということを肌で感じて、自分だけが変なわけではないのだと理解できます。みなさんもその頃にはきっと、気持ちが楽になっていると思います。でも、みなさんが大人になるのはまだずいぶん先のことです。いまはそんなことは考えられないでしょう。
みなさんは、すぐに大人になることはできません。いまは学校や地域の「普通」のなかで生活していくしかない。でも、隣の「普通」をちょっと見に行くことは、いますぐにでもできるのではないでしょうか。
「同級生以外と話してみようか」「違う部活動の子はどう考えるだろう」。そんなふうに、いままでと少し違うことを、試してみてほしいと思います。
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