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「黒子」に徹し政と官の信頼得た二人の内閣官僚 石原信雄氏と古川貞二郎氏から学ぶべきこと

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首相秘書官が起こした事件が話題だ。最近逝った2人の内閣官僚の仕事ぶりに岸田政権が学ぶべきものとは。

石原信雄氏(右)と古川貞二郎氏
相次いで死去した石原信雄氏(右)と古川貞二郎氏(写真:毎日新聞社/アフロ)

1990年代、政治改革と自民党の野党への転落を経て、単独与党ではなく連立政権が与党の形となった。そうした時代、政権を裏から支えた事務の官房副長官は7〜8年という長期の在任となった。自治省出身の石原信雄氏、厚生省出身の古川貞二郎氏である。この2人が相次いで死去した。

官房副長官退任後、2人とも政と官のあり方について、折に触れて経験談を語っていた。だが、そうした「よき内閣官僚」の時代が終わったともいうべき事態が、岸田文雄政権で続いて起こった。2人の秘書官の不祥事である。秘書官就任で物議を醸した首相の長男が、首相の外遊随行の中で、公用車で観光したり、土産物を買い込んでいたりという事件が1つ。もう1つは、経済産業省出身の広報担当であった荒井勝喜秘書官がLGBTへの人権侵害ともとれる発言をオフレコで発し、更迭された件である。

前者は首相の縁故主義ともとれる起用が批判され、後者では諸外国から政権の人権感覚が疑われる事態を招いた。首相を裏から支えるはずの秘書官が、政権の信頼を損ねる事態を次々に引き起こしたのである。

90年代は、連立政権が続く中、政治と行政の継続性をどう担保するかが問われた。2人の官房副長官はここに大きく意を注いだ。2001年の省庁再編以前の体制であり、行政とりわけ各省がその分野を強力に掌握しているという状況であった。官邸は、各省を強引に統制するのではなく、やや受け身に立って各省の利害を調整するという姿勢が基本であった。

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