「こんなに違う」日本と台湾、男女の立場と力関係 夫婦が離婚すると住宅はほぼ自動的に妻のもの
台湾で実感する日台男女の立場の違い
日本と同様、台湾でも世代によって働き方に対する考えが異なります。
20代、30代の若い人たちは、合理的かつ効率的に働ける環境を求めているようです。上司が帰るまで帰宅できない、上司との付き合いで飲みに行くといったこともほとんどなく、この点に関しては今の日本の状況と共通しています。
男女の立場についていうと、台湾は日本よりも平等意識が強いかもしれません。かつて日系企業で働いていた台湾の女性たちは、「日系企業だからしょうがないよね」と観念し、“お茶くみ”などの仕事を黙って引き受けていたそうです。しかし今は欧米的なワークスタイルがかなり浸透しているので、女性だからという理由だけでお茶くみを頼むようなことがあれば、確実に不満の声が漏れてくるでしょう。男女平等の意識については、日本より台湾のほうがより敏感と言えそうです。
男女の立場の違いに関しては文化的な要因も絡んできます。例えば、日本の企業文化では、会社単位の食事会や打ち上げが行われる際、女性社員が男性上司にお酒を注ぐという慣習が今でも多少は残っているのではないでしょうか。しかし台湾では、元々そうした企業文化がありません。
こうした酒席では、男性でも女性でも社長や上司が盛り上げ役となり、部下たちを慰労する側に回ります。それをいかにうまくできるかが、ホスト役としての力量の見せ場であり、リーダーである社長や上司はその能力をアピールしようとするのです。
特に、春節(旧正月)前に行われる「尾牙(忘年会)」では、その力量が試されます。尾牙は、社長や管理職が社員を労ったり、年齢地位関係なく楽しむ場なので、社員が喜びそうな景品を用意したり、その場を盛り上げてくれるアーティストを呼んだりするなど、おもてなし力を発揮しなくてはなりません。
このような席では、女性は男性や上司に過度な気配りをして大人しくすることもなく、“座敷の華”として会話に積極的に加わっていきます。こうしたところも日本とは明らかに異なるところです。
余談ですが、仕事を離れた個人的なお付き合いの場でも、男性が主にホスト役を務めます。知り合いのお宅を訪れたりすると、その家の主人が茶器を出してお茶を淹れてくれるのです。こうしたところでも日台の違いが窺えます。
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