相場沸騰でウハウハの「米中古車業界」襲う逆回転 「中古車のアマゾン」がはまった誤算

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アメリカの中古車販売店の多くは家族経営で、何千という小規模店によって形成されている。カーマックスは業界の最大手企業だが、市場全体の販売額のごく一部を占めるに過ぎない。

1993年創業のカーマックスは、かつてブロックバスターがレンタルビデオ事業で用いたのと同じ手法で、細分化された中古車ビジネスを効率化。10年以上にわたって安定的に利益を生み出してきた。約240カ所の店舗で、昨年は90万台以上の中古車を販売した。

「ウォール街の寵児」が利上げで問題児に

カーバナはそれよりもはるかに若い会社だ。CEOのアーネスト・ガルシア3世と、その父でドライブタイムという別の中古車会社のオーナー兼創業者のアーネスト・ガルシア2世が2012年に創業。ガルシア3世は中古車版のアマゾン、つまりウェブサイトやアプリで中古車を購入でき、自宅まで配送してくれる完全なネット販売企業をつくりあげることを目指している。

カーバナはブランド構築のために数十台の車両を格納でき、巨大な自動販売機のように機能する高さ約23メートルの立体駐車場を建設。顧客が購入した中古車を、そこで受け取れるようにした。

コロナ禍で人々が自動車をオンライン購入せざるをえなくなると、カーバナはウォール街の寵児となり、株価が急騰。2021年には1株約345ドルの高値をつけた。

しかし、この熱狂は経営上の難点を覆い隠すものとなった。カーバナは株式市場で同社株が取引されてきたほぼ10年間にわたり、通年で黒字になったことは一度もない。小売拠点を増やし、タワーを建設し、オンラインのプラットフォームを高度化するのに多額の資金を費やしてきたためだ。

そのカーバナの財務状態は、まさに金利が上昇し始めた2022年5月に37億5000万ドルの債券を新規発行して自動車オークション会社を買収したことで、一段と悪化した。カーバナの債務返済額は急増し、多くの投資家が同社の今後を危惧するようになった。

ウェドブッシュのバシャムは「最悪のタイミングでの買収だった」と言う。「カーバナは負債を増やしすぎて、大きな重荷を背負うことになった」。

(執筆:Neal E. Boudette記者)
(C)2023 The New York Times

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