「人を攻撃する人」ほど認知症になりやすいワケ 怒りは表現してしまうとどんどん大きくなる

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次に、最初のグループに、「失敗率は30%」と伝えました。すると、彼らはその手術は良くないものだと感じるようになりました。 そして30%の失敗率だと説明を受けていたグループは、「成功率は70%」と伝えても、彼らの意見は変わりませんでした。

つまり、彼らが最初に抱いた手術に対するネガティブな印象は消えなかったのです。

このようなメカニズムで、私たちはついネガティブな情報を注目して見てしまう、ということを忘れてはいけません。

「褒められて伸びる」は本当だった

その上で、解決法を考えてみましょう。

人間関係の解決法は、「人を減点評価で見ない」ということに尽きます。
つまり、私たちは放っておけば人のイヤなところばかり目についてしまうので、意識的にそこには目をつぶる、「悪いところではなく、良いところだけを見よう」と腹をくくることです。

100点の人間などどこにもいないのですから、減点法で嫌いになっていくのではなく、加点法をしていくことが、人付き合いをラクにする秘訣です。

これに関連して、エラスムス・ロッテルダム大学のヴァンディーレンドンクとスタムによるこんな研究結果があります。

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この実験では、答えを間違えると報酬が減る、いわゆる減点法で学習をさせた被験者たちと、最初から報酬のない状況で学習させた被験者たちからデータを取り、睡眠後の記憶定着率を比較しました。

すると、後者の成績(最初から報酬がない組)のほうが良かったというのです。

また、心理学者のエリザベス・B・ハーロックが行った古典的な研究で、小学4年生と6年生の児童を、同じ教室で①いつも褒められるグループ、②いつも叱られるグループ、③褒められも叱られもしないグループに分けて、5日間にわたって計算問題をやってもらいました。

結果、①の褒められたグループはだんだん成績が良くなり、②は最初だけ少し成績が上がったものの、だんだん下がり、③のグループは特に変化が見られなかったということが明らかになりました。

人間には承認欲求がありますから、「○○は褒められて伸びる子」というのは、誰にでも共通する資質のようです。そもそも褒められることがイヤな人なんていないでしょう。ならば、減点法ではなく、良いところを見る、良いところを伸ばす、その方針を徹底することが、教育には必要なのでしょう。

堀田 秀吾 明治大学教授

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ほった しゅうご / Syugo Hotta

言語学博士。熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程修了。ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了。言葉とコミュニケーションをテーマに、言語学、法学、社会心理学、脳科学などのさまざまな分野を融合した研究を展開。熱血指導と画期的な授業スタイルが支持され、「明治一受けたい授業」にも選出される。研究の一方で「学びとエンターテインメントの融合」をライフワークとし、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書等を多数執筆、テレビ番組にも出演する等、多岐にわたる活動を展開している。

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