日経平均がさらに上昇する土台が整いつつある 「今年は前半調整」ではなく大発会が底値に?
消費者物価を2%の適正水準に軟着陸させようとしているパウエル議長にとって、理想とする利上げペースへの最大の敵は「株価の大幅下落」だろう。
これは前回のFOMC(昨年12月13~14日)のときにも見られた。結果が発表された12月14日のNYダウは142.29ドル安の3万3966.35ドルで終了したが、途中、FOMCの結果が発表されると、NYダウは一気に400ドル安となる局面があった。だがパウエル議長の会見が始まった4時半からは急激に戻り、一時プラスになるなど落ち着いた。
一方、議長は「利下げについて言及するのは時期尚早だ」と、先走りかけている市場に対して警告を発することも忘れなかった。株式市場は先が見えるとすぐに先走り、失速してしまうものだ。「株価がこの先、失速(大幅下落)することのないように、ゆっくり行け」という忠告ともとれた。筆者は「FRBは緩やかな株価上昇を望んでいる」と理解している。
日本の「異次元賃上げ」も意外に進展する?
さて、日本株を取り巻くマイナス要因が1つ1つ取り除かれつつあるという話をしてきたが、日本でもインフレが進む中、従来とは違った春闘の景色が広がりつつある。
岸田文雄首相は「物価上昇を上回る賃上げの実現」を企業側に求めたが、ファーストリテイリングの「国内従業員の給与最大40%引き上げ」は例外としても、オリエンタルランドの7%、サントリーHDの6%など、連合が求める「5%程度」を超える賃金引き上げ検討を発表する企業が続々と増えている。
「そんなに賃上げできるなら、なぜ今までやらなったのだ」と言うなかれ。世の中とはこういうものだ。今やらなければ、労働力の獲得競争や「風評被害」などで、企業は世の中から取り残されてしまうからだ。
一方、テクニカル面で見ても、日経平均のチャートの形はかなり良くなっている。2月1日には長期投資家の目安になっている200日移動平均線が上昇に転じ、同時に中期投資家の指標である75日移動平均線がその200日移動平均線を下から上に突き抜ける「ゴールデンクロス」が示現した。これはテクニカル分析での上昇シグナルの1つだ。
とくに中期線である75日線と長期線である200日線のゴールデンクロスは、大局を表す比較的信頼のおける指標で、抜かれる長期線も上を向いたことによってさらに信頼度が増した「真正ゴールデンクロス」といえる。こうして下げ要因が1つ1つ消えていくのは、まさに2023年が大発会を底値にした相場展開になっていることを示す証拠ではないか。
今週は日本製鉄、トヨタ自動車、東京エレクトロンなどの注目決算がまだ残っている。だが、先週ほどの緊張感はない。無理な売買をせず、ゆっくり行けばいいのではないか。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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