こんまり「完璧な片付けを諦めた」背景にある変化 欧米で次々と後追い記事が出る影響力
『こんまりメソッド』がアメリカで一世を風靡したことは周知のことだが、改めて彼女のグローバルな影響力には驚くばかりだ。
少なくとも子どもが小学校低学年になるまでは生活の全てが子ども中心になるのは世の中の共通認識だ。授乳、離乳食の用意、成長に合わせた衣類の用意、病気になったら看病と通院、保育園・幼稚園入園関係の選択や事務、送り迎え、イベント準備……、子育ては毎日が戦いなのである。『育休中の学び直し』を提唱した岸田総理の発言も現在炎上中だ。
2女1男の母であるこんまりならなおさらであろう。「完璧な片付け」を諦めたのは無理からぬことである。
アメリカSNSなどの反応は、彼女に理解を示す声が多い
こんまりは実際、共著書『Joy at Work 片づけでときめく働き方を手に入れる』(河出書房新社刊)でもこんな風に語っている。
『現実は甘くありませんでした。出産後はとにかく時間もないし、余裕もないので、生活で最低限に求めるレベルが、自分は寝る前に歯さえ磨ければOK、子どもは生きていればまずはOK、というレベルまで一挙に落ちてしまいました(中略)こういった経験から私は、「子どもが小さいうちは、完璧に片づけることを諦めるべし!」ということを学んだのです。そんな中でも、せめてもと意識していたことは「自分のペースを保てる場所だけは、片付いた状態をキープする」ということ』
つまりどこを整理し、どこを整理しないかを自分の中で整理するということで、これはこれで極めて合理的な対処といえる。
今回のワシントン・ポストの記事に対するアメリカSNSなどの反応を見ると、彼女に理解を示す声が多かった。
「いいんじゃないでしょうか。私も2児の母です」
「こっちの(片付けられない)世界にようこそ!」
「子育てこそ最大の“ときめき”ですから」
現在のこんまりはインスタグラムなどを見ていると、片付け一辺倒ではなく、日本的な禅の精神、瞑想や生活を楽しむこと、それを元にしたライフスタイルの提唱に舵を切っているように見える。アメリカ『TIME』誌が「世界で最も影響力のある100人」(2015年)に認めたこんまりの世界的な活動に引き続き注目だ。
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