日本電産が大幅下方修正、車載事業が赤字の衝撃 巨額の構造改革費用、永守CEOは「垢を落とす」
構造改革費用の内訳には、品質問題に伴うリコールも想定している。ただ、これらが必ずしも損失となるかはまだわからないという。永守CEOは、2022年9月に辞任した関潤前社長について、「客先にも工場にも出向かない。いろいろな問題を放置してきた。品質問題でも、問題がまったく出ないことはないので、すぐ戻せば問題ない。放置して損害が広がることで、お客様にご迷惑をおかけする」と非難した。
車載事業だけではなく、精密小型モーター事業も厳しかった。直前の第2四半期と比べて、第3四半期の売上高は6.7%減の1074億円、営業利益は55%減の48億円。「HDDの市場が縮小している。収益の稼ぎ頭だったニアラインで大きく在庫調整があった」と説明した。
注力製品で方針転換
ともあれ、日本電産が業績を再び成長軌道に乗せるにはEV(電気自動車)向け駆動システムの成長が必須だ。
2019年から第1世代品の量産を開始したEV用駆動システムは、利益が出なくても市場シェアを取ることを重視してきた。だが、収益性の確保を重視するよう、販売方針を変更する。
今後は2022年9月に量産を開始した第2世代品の販売に注力する。2024年3月期には駆動システムのうち約7割を第2世代品が占めるようになり、EV用駆動システム事業の黒字化が可能だとしている。
日本電産は1973年創業で、7月に50周年を迎える。永守CEOは、「決して会計的に問題があるというご懸念を持っていただく必要はございません」と強調し、「50年でいろんな垢があった。大きいものでは前経営者が好き放題の経営をして大きな負の遺産をつくって去っていった。今期中にゴミをきれいにして、バランスシート上で何一つ課題を残さない」と語った。
批判のやり玉に挙がった関前社長は2月から、日本電産とEVプラットフォーム開発で協業関係にある鴻海科技グループのEV事業最高戦略責任者(CSO)に就く。交渉相手としてどのような対応を取るのか。両社の関係性に変化が訪れるかもしれない。
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