最北の廃線「天北線」、代替バスすら消える現実 かつて長大路線、音威子府―浜頓別間をたどる

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12時47分に着いた浜頓別高校前で、それまで私以外の利用客が1人もいなかったところへ、一気に10数人の高校生が乗ってきた。ここを始発とする19時15分発の鬼志別ターミナル行きもあり、高校生の流動に合わせてバスのダイヤが設定されているとわかる。稚内市内を除けば現在、浜頓別高校が旧天北線沿線では唯一の高校だから、当然と言えば当然。取材日は11月30日水曜日だったが、早上がりなのは学校行事の関係か。授業などのスケジュールも、バスのダイヤに合わせて考えられているだろう。

浜頓別が音威子府―南稚内間では最大の市街地。だが、町全体の人口は約3300人にすぎない。中頓別町も浜頓別町も、平成20年代には財政健全化団体に指定されていた時期もある。浜頓別ターミナル12時49分着。ここは浜頓別駅を中心に市街地が広がっているため、駅跡に設けられたバスターミナルも自然に町の中心となる。

道の駅にバスターミナル

ただ、浜頓別町役場の東側にあったバスターミナルは、2019年4月1日に道路を挟んだ北側に移転した。「道の駅・北オホーツクはまとんべつ(浜頓別交流館)」のオープンに合わせて、観光・交流の拠点として再整備されたものだ。

浜頓別ターミナル。後方では音威子府行きが発車待ち中(筆者撮影)

ここにも宗谷バスの窓口があり、待合室も完備。浜頓別は1985年に廃止された興浜北線の分岐駅で、枝幸方面への代替バスもここを運行拠点としているが、次の便は17時28分までなく、そちらには音威子府16時05分発が17時27分着で接続している。

稚内駅前ターミナル行きは12時59分まで、やはり10分間停車。12時44分には稚内駅前ターミナル発音威子府行きが先に着いていて、12時54分に出て行く。やはり浜頓別高校前で、中頓別方面へ帰る高校生を乗せるのだろう。こちらに乗っている高校生はまったく動かない。猿払村方面まで帰る子ばかりなのであった。

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土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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