さりげない「気遣い」ができる人・できない人の差 喜んでもらうためにした事がなぜ喜ばれないか

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せっかくお客さまのご要望に応じたにもかかわらず、結果的にはお客さまも担当CAもどちらもハッピーにはならなかったのです。「特別なことをしてあげた」と感じさせる伝え方が「恩着せがましい」という気持ちにさせてしまった事例です。

「気がきくCA」であれば、お客さまのステータスやご様子から「このお客さまは機内サービスについてよくご存じだ」と想像することができますので、ルールの説明は控えます。柔軟な対応を心地よく受け取っていただくために「本日は少し多めに新聞がございました」というようなさりげない言葉を添えて、双方がハッピーになるように努めるのです。

気がきく人の行動は、タイミングや距離感、伝え方が絶妙であり、相手が恐縮したり不快にさせたりするような重さもありません。それらの気がきいた行動は「ちょっとしたこと」が多いものの、相手にとっては大きな喜びや幸せや安心に繋がることも少なくありません。気づきをスマートに生かして、自分も相手もハッピーになる。それこそが気がきく人の真のおもてなしといえます。

見返りを求めない気遣いを

こうした相手に期待をしたり、見返りを求めたりせずに気をきかせられる人というのは、いい具合に肩の力が抜けています。何も押し付けないのです。そうすると、相手も周囲も、その気遣いを受け取りやすくなります。

CAの仕事は宿泊を伴う業務があり、子どもが小さい頃は近所のママ友達のみんなにずいぶん支えられました。特に親しかったBさん親子には、私が不在の日や帰宅が遅くなる日に我が家で子どもたちの食事の世話をしてもらうこともありました。

ある日、私が国際線のフライトから帰国すると、私の分の夕食まで用意してくれていました。「ありがとう! 今日は珍しく和食なんだね」と言うと、「『国際線に乗務すると、日本に近づくにつれて納豆が食べたくなる』って言ってたから」。さらに食事をしながら「あれ? なんか床がきれいかも」と言ったところ、「ああ、さっき掃除機をかけておいた」とさらりと答えました。

彼女は「あなたのためにやりました」と自らアピールすることはありませんでした。もし私だったら、相手の喜ぶ顔が見たくて、気づかれる前に種明かししてしまったかもしれません。

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