「児童手当」「奨学金」少子化対策で考えうる手立て 賃上げ取り組む企業へ法人税控除率向上はあるか

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(画像:FNNプライムオンライン)

木原氏:橋下さんが言うように、子育てにどれくらい金がかかるのかは議論をして冷静に見極めなければいけない。「N分N乗方式」の議論を排除する必要は全くない。ただ、やはりある意味、高所得者ほど有利になる。もともと高い累進税率からぐっと下がるから。逆に中低所得者はあまり裨益するところがない。仮に中低所得者がもう少し子どもを持てるようにするというのが目的だとすると、本当にいいことかどうかは冷静に議論しなければいけない。共働き世帯もそれほど裨益するところがない。

松山キャスター:専業主婦の方が計算上有利になるとの見方も一説にはある。

木原氏:そうだ。1人で世帯を支えているほうが有利になるとの見方もあるので、メリット・デメリットをよく議論したらいい。ありとあらゆる選択肢を冷静に議論すべきだ。

橋下氏:この税制で効果がない世帯は児童手当などでしっかり手当てをする。児童手当などの支援を受けられない高額所得世帯は税制でサポートする。ミックス型でやるべきだ。公平性を考えると、今の累進課税でそのまま所得制限を入れると、多額の納税をしている人からは不平不満が出ると思う。(税制と支援策の)ミックスで考えてもらいたい。

「出世払い」型奨学金「高等教育、大学以上で検討」

松山キャスター:子育てでは教育にかかる金をどう補助していくかも焦点になる。高校の授業料や入学金の支払いを一旦国が立て替えて、学生本人が卒業後に出世払いで返済する制度の導入について岸田政権の中で検討しているようだが。

木原氏:岸田総理は自民党総裁選に出た時から、オーストラリアが導入している出世払いのヘックス(HECS:Higher Education Contribution Scheme)制度のような仕組みを検討すべきだと言ってきた。高校というよりは、高等教育、大学以上ということだと思うが、検討に値するだろう。制度設計をどうするかはこれからの議論だ。未来への投資だ。すべての子どもが大学に等しく通えるようにしていくという意味では重要な検討項目だ。

松山キャスター:大学卒業後に、年収がある程度の額以上になったら、その時点から返済をしていくような制度設計になるのか。

木原氏:所得がない人から、返せない人から返してもらうわけにはいかない。返せる所得になった人から順次お返しいただくということだ。

松山キャスター:少子化対策の財源については、自民党内でも菅前首相らから「消費税増税の議論をするのはあり得ない」との批判が出ている。防衛増税についても「突然だった。増税については丁寧な説明が必要だ」と苦言ともとれる意見が出ている。

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