鉄道博物館で展示、お召機関車EF58形61号機とは? ここは押さえたい、希少車両の見どころを解説

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61号機を含め、EF58は流線形のスタイルに人気がある電気機関車だった。61号機は、お召列車の「仕事」のない時期は一般の列車で使用され、過去には寝台特急「はくつる」(上野―青森間)を牽引した実績もある。

1980年代に多くのEF58が引退するなか、61号機は引き続き使用され、特急「踊り子」の臨時列車を牽引するなど、一般の列車の牽引で活躍したこともファンとしては懐かしい。国鉄末期に登場した「サロンエクスプレス東京」という団体臨時列車向けの欧風客車が登場したが、この客車も茶色の車体色で、61号機との組み合わせがよく似合っていた。

なぜ流線形の車体なのか

さて、お召機の61号機も当初から流線形の車体で造られたが、EF58自体は当初から流線形の車体だったわけではない。1947年に登場したEF58形の1号機が箱形の車体で、先頭部にはデッキを備えていた。1952年に登場した27号機からデッキのない流線形の車体となり、デッキを備えたEF58も流線形の車体に載せ換えを行っている。

流線形としたのは、設計変更によって車体が大きくなり、デッキだった部分まで車体を延ばしたためだ。この設計変更の契機となったのは高崎線の電化で、この際にEF58の追加製造が行われたのだが、ここで問題となったのは列車の暖房だった。当時の旅客列車は、おもに蒸気機関車によって運転されていたが、列車の暖房は蒸気機関車から供給される蒸気によって成り立っていた。これを単純に電気機関車へ置き換えてしまうと、列車の暖房で使用する蒸気がなくなってしまう。

この問題を解決するには、暖房用の蒸気を供給する暖房車を連結するか、電気機関車に暖房用の蒸気発生装置を搭載すればいい。EF58では後者の方法を採った。EF58に蒸気発生装置を搭載した分、車体が大きくなってしまったわけだが、大きくなってしまった車体に合わせて足回りの設計変更を行う時間的余裕はなく、足回りはそのままとしている。

車体を大きくすると、今度はカーブで車体がはみ出すことになり、その分だけ先頭部を削ったことで流線形のEF58のデザインが出来上がった。EF58の流線形デザインは、機能の制約から生まれたのだが、大きな窓が2つ並ぶデザインは当時の流行も取り入れている。

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