まるで頭にかんざし「おいらん列車」は何に使う? 車両から突き出た多数の棒はどう機能するのか
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リニア・鉄道館に展示されているオヤ31 12はスハ32 426を改造した車両。館内通路側の車端部の矢羽根を展開している(筆者撮影)
京都鉄道博物館は7月26日から8月14日まで、事業用車両のオヤ31 31を特別展示した。このオヤ31形とは一体どんな車両なのだろうか。
障害物への接触を知らせる
オヤ31形は建築限界測定車。線路の周囲にある建築物や構造物が車両に接触しない範囲=建築限界に収まっていることを確認するのがオヤ31形の役割で、車端部と車体中央部に検測用の矢羽根を備えているのが特徴。矢羽根が障害物に触れると、測定室に電気信号を送って抵触を知らせる仕組みとなっている。
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JR西日本のオヤ31 31。車体側面に展開している矢羽根が最大の特徴(筆者撮影)
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オヤ31形の矢羽根。車体側はアームと連結していて、建築物に抵触すると倒れた矢羽根に引っぱられたアームが測定室に電気信号を送る(写真:寺尾武士)
オヤ31形は主に路線の新規開業や電化の際の試運転列車に連結され、障害物の支障を確認する。オヤ31形の矢羽根を花魁のかんざしになぞらえて、この試運転列車を「おいらん列車」と呼んでいた。
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1980年の千歳線・室蘭本線電化の際に運転されたオイラン列車。オヤ31 32は車端部と台車中心から6.9mの2カ所に矢羽根を設置。これはオヤ31 31・32だけの特徴で、他車は矢羽根が3カ所にある(筆者撮影)
オヤ31形は1949〜1961年に旧型客車を改造。国鉄時代は7両が在籍していたが、そのうち2両は1987年に廃車となっている。
1987年3月31日の国鉄分割民営化まで残った5両のうち、21がJR九州、31がJR西日本、32がJR北海道、12がJR東海、13がJR東日本に承継された。
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