自分と他人を比べて荒んだ気持ちになる人の不幸 まじめで有能、でも特定の人とうまく付き合えない

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だが、いつも自分を人と比べるようなことをしていれば、一歩下がって自分の仕事を客観的に見られないし、やがて比較が「人を非難する」ことにつながりかねない。

人と比べた結果、そこから導かれるのはたいてい「不満」や「不安」だ。そんな気持ちを打ち消すように、あらゆることを自分に有利なように解釈しようとする。

根底にあるのは、私たちのほとんどが抱く「自分は人と違う」という思い。自分は特別でもなんでもない、ごく普通の人間であることに不安を感じる。そして人よりずっと繊細で、他人のこともよく理解できると思い込んでいる。そんなときに仕事でうまくいかないことがあれば、スケープゴートを探し求め、非難の対象をすり替えようとする。

批判を受け入れなければ、自分は特別でも何でもない人間で、間違いをよく犯すという不安な気持ちと距離を置ける。また、自分以外に罪を着せ、自分は他人の欠陥を正確に突く才能を備えているという思いもこれまで通り維持できる。

「小さなミス」で認める練習をする

言うまでもなく、人と比べたり、人を非難したりするのは非生産的で、仕事の質を低くする。どうすればこの罠にとらわれずにすむだろう?

自ら間違いを認める勇気と覚悟が求められる。自分は悪くないと膨大な証拠を探して自分を守るロジック突きつける前に、謝ってしまうのだ。

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小さなミス、たとえばプレゼンがうまくいかなかった、メールの送信を忘れたといったことがあったとき、言い訳せずに自分のミスを認めよう。それを重ねれば、あなたは正直で隠し立てしない人だと思われるし、何よりミスを認めることで自分が解放される。「人を非難する罠」から抜け出すことができる。

そして、時には普段やっている「ルーティンワーク」からはみ出してみる。普段と違うチームを手伝ってみたり、別の部署の人たちと積極的に話してみたりする。そうやってまわりにどんな世界が広がっているかを知れば、「人は自分にないものを持っているかもしれない」と真っ先に空想せずにすむ。

他人が置かれた状況を体感すれば、人をうらやましがる自分の創作シナリオに固執することもなくなるだろう。特定の人が頭をもたげる機会も減っていくことが期待できる。

トマス・J・デロング ハーバード・ビジネススクール ベイカー基金教授、フィリップ・J・ストンバーグ記念講座元教授

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Thomas J. DeLong

専門は個人および組織の成功要因。ハーバード・ビジネススクールでは、MBAおよびエグゼクティブ向けコースを担当。人的資本の管理、組織行動、リーダーシップ、キャリア管理を講じる。ハーバード・ビジネススクールの必修コース「リーダーシップおよび組織行動」のコース長を務め、成功を収めている企業における人的資本の管理、専門サービス企業における戦略的課題に重点を置いたMBAコース開発にも携わった。ハーバードで教鞭を執る前は、モルガン・スタンレーでマネジング・ディレクター(専務取締役)および最高開発責任者を務めた。ブリガム・ヤング大学で学士号および修士号を取得、パデュー大学で博士号を取得。

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