12月東京のCPI4.0%と40年8カ月ぶりに高水準 市場では日銀による一段の政策修正との思惑強まる
全国の物価の先行指標となる東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、昨年12月に前年同月比4.0%上昇と、1982年4月(4.2%上昇)以来、40年8カ月ぶりに4%台に乗った。原材料高や円安を背景に価格転嫁が続く食料品に加え、エネルギーが全体を押し上げた。総務省が10日に発表した。
生鮮食品を除く食料は同7.5%上昇し、1976年8月(8.1%上昇)以来、46年4カ月ぶりの高い伸びとなった。エネルギーは同26.0%上昇と、昨年3月以来(26.1%上昇)の高い上昇率だった。
SOMPOインスティチュート・プラスの小池理人主任研究員は、「エネルギー・食料品に限らず幅広い分野に価格上昇の裾野が広がっている」と指摘。「全国旅行支援による政策的な押し下げ要因もあるため、実態としての物価上昇は数字が示すよりもさらに深刻」との見方を示した。
食料品を中心に原材料高や円安に伴うコスト上昇を価格に転嫁する動きが続いている。昨年12月の日本銀行による金融緩和の修正を事実上の利上げと受け止めた市場では、日銀による一段の政策修正に対する思惑が根強い。日銀が17、18日に開く金融政策決定会合における政策対応と新たに示す経済・物価情勢の展望(展望リポート)に注目が集まる。
S&Pグローバルマーケットインテリジェンスの田口はるみ主席エコノミストは、足元の物価動向を市場は追加の政策調整を日銀に促す水準と受け止める可能性があると分析。ただ、日銀としては賃上げの状況を見極める必要があることから、「すぐに金融政策に反映される、変更につながるということではないだろう」と語った。
詳細(総務省の説明)
- 生鮮食品を除く食料は、ヨーグルトや焼き肉(外食)、握りずし(弁当)、豚肉などの価格が上昇
- エネルギーは、都市ガス代が大手ガス会社による燃料調整費の値上げにより、11月に比べ0.07%ポイントの押し上げ寄与。ガソリン代は前年同月に値下がりした反動などでプラス寄与
- 宿泊料(15.3%下落)は全国旅行支援が0.30%ポイントの押し下げ寄与となったが、12月という季節的な影響もあり、前年比のマイナス幅が縮小。全体では11月と比べてプラス寄与
- コアCPIの前年比では、12月に全522品目中376品目が値上がり、値下がりは78品目。11月は値上がり364品目、値下がり90品目
--取材協力:
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著者:伊藤純夫
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