ただ全体が大きく上がっているなか、ファストフードが値上げしたとしてもそれは当然と消費者には捉えられているようだ。アメリカでは時期にもよるが、マクドナルドの商品・メニュー価格は前年比で10%超も上がっている。それでも低所得層への訴求性は維持している。ある程度の値上げであれば消費者はそれを受け入れている。あるいはファストフードが選択肢として魅力的であり続けている。
その理由の1つとして、値上げした商品もある一方で、価格を維持している低価格商品も販売していることが挙げられる。その低価格商品は他と比して価格競争力がある。さらに消費者は期間限定の割引商品や、アプリなどを活用してクーポン等を利用している。アプリを使えば景品を提供するプログラムもあったり、ポテトが1つ無料提供されるサービスも用意したりしている。
マクドナルドはマーケティングにも長け、BTSやトラヴィス・スコット、スウィーティーと組んだプロモーションは見事だった。これはアーティストがマクドナルドで好んでいるメニューを注文できるというものでファンらが殺到した。
値上げはあったものの、それでもマクドナルドは比較的に安価だという評価になった。高額なレストランチェーンからマクドナルドへの移行も起きている。実際にたとえば値上げの後(第2四半期)、アメリカのマクドナルドでは店舗売上高は前年比3.7%上昇した。
日本マクドナルドの値上げはどう影響したか
では日本はどうだろうか。日本マクドナルドのセールスリポートを見てみよう。マクドナルドは2022年3月14日と、2022年9月30日に値上げをしている。
その影響は次のとおりだ。
第2四半期(4月~6月):9.8%増
第3四半期(7月~9月):6.5%増
第4四半期(10月~12月):13.9%増
(全店、前年比売上高変動率)
と上記の通り、むしろ売上高を伸ばしているとわかる。なお上記の数値では表現されていないが、値上げ直後の月次を見ても、既存店が売上高・客数・客単価のどれも前年同月比でマイナスになっていない。
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