「2023年日経平均3万円回復」が無理筋でない理由 日本株の先行きが明るいと言える有力指標は?

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まず、中国の経済活動正常化が世界の実体経済に与える影響を考えると、これはいうまでもなくプラスに作用する。中国国内の個人消費回復はもちろん、インフラ投資や民間設備投資の加速は日本を含む世界経済の追い風になる。また、工場の稼働率上昇を通じたサプライチェーンの修復によって、スマートフォンなど最終製品の出荷遅延の解消も期待される。そうなれば、上述のPMIは製造業、サービス業ともに50を回復するだろう。

アメリカのインフレ率低下に「貢献」した中国経済不振

ただし、その副産物としての「資源高」には注意が必要だ。2022年12月下旬時点でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油は1バレル=80ドル前後で推移している。ロシアによるウクライナ侵攻を受けてエネルギー価格は一時急騰したが、夏場以降は欧米を中心とする世界経済の減速を反映、年初と同水準かそれ以下の水準まで低下している。

また、あらゆる工業製品に使われる銅価格もじりじりと水準を切り上げているとはいえ、依然として低水準にあり、世界の財価格に下押し圧力をかけている。だが、中国経済が本格回復となれば、このようにコモディティ価格が低水準で推移する現在の状況は変化するだろう。アメリカを中心に世界のインフレ率が再加速する可能性がある。

ここで現在のアメリカのインフレ率が低下している背景に、エネルギー価格下落があることを再確認したい。同国の消費者物価指数が6月に前年比プラス9.1%をつけたあと、11月にプラス7.1%まで鈍化した大きな要因は「エネルギー」の下落である。エネルギーは2022年6月に前年比プラス41.6%と大幅に上昇したあと、11月はプラス13.1%まで落ち着き、この間のインフレ率の低下に大きく貢献してきた。

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