日立、鉄道事業の立役者「副社長電撃復帰」の背景 2022年3月末に退任後、わずか9カ月で返り咲く
2021年、日立はフランスの防衛・航空宇宙メーカーのタレスと同社交通システム事業の買収交渉を始めた。このときも報道関係者への説明はドーマー氏自身が行い、「長年にわたって買収したいと考えていた」と思いを寄せた。
2022年3月、副社長を退任した(2022年4月4日付記事「副社長3月退任、日立『鉄道ビジネス』立役者の足跡」)。退任の理由は、「家族の事情」(日立広報)。それまでドーマー氏は東京を拠点に活動していたが、家族の事情によりイギリスに帰国しなくてはならなくなったという。
もっとも、日立と縁が切れたわけではなく、欧州における日立グループの地域統括会社である日立ヨーロッパの会長は引き続き務めていた。
復帰の理由は「家族の事情が変化」
最近の日立の鉄道ビジネスは大きく動いている。11月にはイタリア、フィリピン、カナダなど世界各地で立て続けに合計で1兆円を超える5件もの大型案件を受注(2022年12月5日付記事「立て続けに5件、日立『大型鉄道案件』受注の死角」)など、今後の業容拡大は必至だ。
一方で、同9日には、フランスの防衛・航空宇宙メーカーのタレスから買収する鉄道信号システム事業について、欧州委員会などの承認に時間がかかっており、「本買収のクロージングは当初予定の2023年初頭から、2023年後半になる見通し」と発表された。
このような状況下、ドーマー氏にビジネスの前面に出てもらう局面となったのだろうか。今回、副社長に復帰する理由について、同社に問い合わせたところ、「家族の事情が変化した」というものであった。
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