日立、鉄道事業の立役者「副社長電撃復帰」の背景 2022年3月末に退任後、わずか9カ月で返り咲く

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退任および復帰の理由となった家族の事情とは何なのかについては回答が得られなかった。また、3月退任の時点で、将来“家族の事情”の解決後に副社長に復帰する可能性を考慮していたのかについても問い合わせたが、やはり回答が得られなかった。

今後、ドーマー氏は東京ではなく、イギリスから同社の指揮を執る。副社長、鉄道事業などの社長補佐のほかに、グリーンエナジー&モビリティ戦略企画本部長という役職が新たに加わった。

グリーンエナジー&モビリティとは、デジタルシステム&サービス、コネクティブインダストリーズと並ぶ日立の3つの事業セクターの1つ。この役職は今まで小島啓二社長が担っていたが、ドーマー氏に引き継がれる。その理由について、同社は「グリーンエナジー&モビリティセクターは、海外売上収益比率が約8割のグローバル事業であるため、このような事業を運営するという観点から、最適な場所を選定した」としている。なお、ドーマー氏は日立ヨーロッパの会長も引き続き担当する。

本領発揮はやはり鉄道ビジネスか

日立本体の副社長として業務範囲が広がったが、ドーマー氏が本領発揮できるのはやはり“本籍”の鉄道ビジネスだろう。懸念材料としては、いったん鉄道ビジネスを離れた後に復帰することで、現場の混乱を招きかねないかといったことが考えられるが、日立ヨーロッパ会長として顧客対応や政府との交渉支援などバックアップを行っていたというから、その心配はなさそうだ。

同社広報はドーマー氏の副社長復帰と日立の鉄道事業の経営環境とは一切関係ないとしているが、そうだとしても、同氏の副社長復帰は鉄道ビジネスにとって大きな安心材料となるに違いない。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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