静岡リニア問題、深刻化する県政の「機能不全」 県専門部会議論や副知事発言を川勝知事が否定

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田代ダム取水抑制案は全量戻しにならないと強調する川勝知事(静岡県庁、筆者撮影)

リニア問題に関して、静岡県庁組織の“機能不全”が深刻化している。

JR東海がトンネル湧水の県外流出対策として示した東京電力の田代ダム取水抑制案について、川勝平太知事は12月16日の会見で、「トンネル湧水の全量戻しにならない」などとあらためて否定した。

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県専門部会の議論を台無しに

12月4日に開かれた県地質構造・水資源専門部会で、田代ダム取水抑制案の是非を議論した後、森貴志副知事が「田代ダム取水抑制案が全量戻しの方策の1つであることを知事は了解している」と発言したばかりだった。

川勝知事は県専門部会の議論を台無しにしたばかりか、難波喬司・前副知事に代わって、県のリニア問題責任者に就いた森副知事の立場を失わせてしまった。

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「反リニア」に突っ走る“裸の王様”川勝知事を誰も止めることはできず、静岡県が行政としての体を成していないことが明らかである。

12月4日の県地質構造・水資源専門部会では、①「リニアトンネル工事による県外流出量を大井川に戻す方策」、②「山梨県内の工事で行われる高速長尺先進ボーリングの進め方」の2点について、JR東海が詳しく説明した後、各委員から意見が出された。

最初のテーマとなった①「リニアトンネル工事による県外流出量を大井川に戻す方策」とは、リニアトンネル工事のうち、最大の難工事となる南アルプス断層帯が続く山梨県境付近の工事で、作業員の安全確保を踏まえ、山梨県側から上り勾配で掘削するため、まったく対策を取らなければ、工事期間中(約10カ月間)最大約500万立方メートルの湧水が静岡県から山梨県へ流出するのに対して、静岡県がJR東海に対応策を求めていることだ。

国の有識者会議では、「静岡県外流出量が約500万立方メートルあったとしても微々たる値であり、大井川中下流域への影響はない」とする結論を出したが、川勝知事は「工事中であっても、トンネル湧水の全量戻しがJR東海との約束。静岡県の水は1滴も県外へ流出させない」、「湧水全量戻しができないならば、工事中止が約束だ」などとあくまでも工事中の全量戻しを求めてきた。

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