見応えを増している要因の1つにあるのが、個々のキャラクターの華やかな活かし方。キャラクター性を主体に置くのが得意な日本の良さを最大限に発揮しています。無気力な人生から“今際の国”で生きる意味を見出し、ゲームが抜群に得意なアリス(山﨑)と、登山家の父を失った悲しみを引きずるも驚異的な身体能力を持つウサギ(土屋)の2人がハマり役であることを実感するシーンが増えるどころか、シーズン2ではアン(三吉彩花)やクイナ(朝比奈彩)など仲間のキャラクター1人ひとりも程よく掘り下げています。露出の多いビジュアルも加わりながら、興味を持たせて飽きさせません。
何と言ってもシーズン2の超目玉キャラクターは山下智久を巧みに起用したクラブのキング・キューマでしょう。アリスたちの言わば敵役ですが、「ようこそ、俺たちのゲーム会場へ」という初めの台詞から圧倒的な存在感を放ち、その見た目は強烈です。
ヌーディストという設定のため全裸で登場。ほぼすべての山下の場面で全身の肉体美を見せつけてくれます。制作者側のあざとさを少々感じますが、決して下品にならないのは、作品の裏テーマにある生き様の本質を導く役どころにあります。「裸の魂で、全力で対話しようぜ、アリス」などと、キザすぎる台詞まで作品の世界観をよく表しています。
渋谷のカーチェイスから始まる迫力
仲里依紗が演じるハートのクイーン・ミラを筆頭に、ほぼ全員の登場人物の台詞が棒読みのように聞こえるのも気になりますが、これも狙った演出の1つにありそうです。「もしかしたら街のあらゆる場所がゲーム会場なのね」などといった状況説明の台詞が多々あるからで、アニメやゲームのような感覚でストーリーを理解させていく作りです。
エンターテイメントに振り切った作品として、見応えがある理由はまだまだあります。ハリウッド映画のようなアクションシーンが数々用意され、それはもう迫力十分。冒頭の銃撃戦込みのカーチェイスは、アップルストアとパルコがある間の道などを全速力で走り抜けていきます。車の横転もCGではなく実際に現場で行われていたことがわかると、制作サイドの本気度まで伝わってきます。
終盤ではシーズン1の象徴となった渋谷スクランブル交差点のオープンセットをフル活用。渋谷109とその周辺の道路にまで拡張し、こだわりある「渋谷にありそうな路地裏」を新たに作り出してもいます。
吉野家の横から入った路地でバトルし、そこからサンドラッグにつながる架空の舞台で最大の見せ場が待っています。活躍する年長者のアグニ(青柳翔)はまるでブルース・ウィルスに見えてくるほど。おまけに新キャラクターの女子高生ヘイヤ(恒松祐里)との信頼関係が築かれ、モテる中年男としての夢まで与えています。
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