社員3分の1をリストラ「東スポ」が復活を遂げた訳 オールドメディアの果敢なる"挑戦の物語"

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さかのぼること半年前……。「週刊文春」(2021年4月22日号)で「同社は45〜59歳の160人の社員を対象に希望退職者を募集。社員全体の三分の一近くをリストラする予定……」と報じられている。

東スポが経営危機に陥って社員のリストラをするという報道が出たばかりで餃子販売……? 1980年代からの東スポファンとしては、いてもたってもいられない事件発生だ。

そこで私は東スポにいったい何が起きているのか、真相を探ることにしたのである。

2022年夏――、東スポの将来を尋ねるため、「東スポ餃子」の企画販売を先導した東京スポーツ新聞社取締役編集局長の平鍋幸治氏を訪ねた

新聞だけを売っていたのでは、先はない

さっそく、「最近の東スポはどうですか?」と語りかけると、平鍋氏は、「想像以上の逆風だ、紙は厳しい……」とそのまま言葉を飲み込んでしまった。開口一番、取締役とは思えない一言に圧倒された。

「紙」というのはもちろん「新聞」のことを指す。すでに記したが、2010年以降2020年までに、日本国内の新聞の総発行部数は2000万部ほど減少している。東スポも例外ではない。2000年以前のように、新聞だけを売っていたのではもう先はないということらしい……。

平鍋氏はさらに付け加える。

「どこの新聞もそうですが、部数が上がっているところはありません。出版社でも新聞社でもいいですが、紙媒体の部数が上がっているといっているとしたら、それは明らかに嘘ですよ」

読売新聞が部数1000万部を誇っていた時代の新聞はまさにモンスタービジネスであった。その時代には輪転機を回して新聞を刷れば刷るほど黙って儲かるビジネスモデルだったが、いったん不振に陥ると部数減にともない、広告収入も減少するなどの悪循環が始まる。

東スポも最盛期には1日に250万部ほどの発行部数だったが、2022年現在は100万部ほどと大きく落ち込んだ。もちろん、定価を少々上げて対策を施しているが、売り上げは半分以下に落ちてしまった。

さらに追い打ちをかけるように、昨今の流通費用の高騰が新聞社の利益圧迫に拍車をかける。仮に発行部数が半減しても、取次店や販売店に運んでもらうトラックの費用を半分にすることはできない。これは現物の紙に印刷をした新聞の宿命だ。ネットのようにオンラインで閲覧し、ユーザーが必要に応じてダウンロードし、プリントアウトすればすむということにはならない。

「このままだと紙はもう厳しい……」

その言葉の意味は自社の商品の終焉を語るようでもある。実際、社員たちのモチベーションは下がっていったはずだ。紙に未来がないという現実を受け入れた先にビジョンがなければ、企業はただ座して死を待つことになる。その先に、いったいどんな展開をイメージしていたのだろうか。その問いについて平鍋氏はこう答えた。

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