日本と欧州で出生率がこれだけ違う不都合な真実 令和の時代もひきずる昭和的価値観の呪縛
なぜ非婚化が進むのでしょうか。よく指摘されるのは、若年層の雇用が不安定になっているという経済的理由です。
収入が不安定な非正規雇用の労働者全体に占める割合が、1989年(平成元年)の約20%から2021年には37%に上昇しました。非正規労働者の「自分が生きていくので精いっぱい。結婚して子供を産むなんて考えられない」という嘆きをよく耳にします。
加えてもう一つ、国民が薄々気づいているもののあまりおおやけに語られない原因があります。それは、「パートナーに求める知的水準のすれ違い」です。男性の中には、「自分より学歴が高くない女性と結婚したい」「頭の良い女性はちょっと勘弁」と考えている人がいます。パートナーに対し優位に立ちたいという発想からでしょう。
逆に女性の中には、「自分より賢い男性と結婚したい」「夫に養ってほしい」と考えている人がいます。
とすれば、男性側がより高学歴なケースなどは結婚は成立しやすくなりますが、このケースから外れるとなかなか結婚できません。昭和の時代まで女性の就業機会が制約されていたので、女性は生きるために妥協してでも結婚しました。ところが近年、女性が経済的に自立すると、あえて不本意な結婚をする必要がなくなりました。これが非婚化、その結果としての少子化が進んだ原因の1つです。
国民の価値観を変えるのは難しい
ここで不思議であり、残念なのは、共働きが当たり前のこの時代になっても、「夫が一家の大黒柱として働き、妻が家庭を支えるべき」という伝統的な価値観が、昭和の時代からあまり変わっていないことです。
知的で進歩的と世間から思われている男性でも、家庭を支えてくれる控え目な女性を好むこともあるようです。大学教員をしている30代独身のAさんは、次のように語ります。
「将来もし結婚するなら、女性には家庭を守ってほしいと思います。ちょっとボーっとしているくらいの女性の方が、一緒にいて気持ちが安らぐし、子供もおおらかに育つのではないでしょうか」
また、高収入の女性の中でも、頼りがいがない男性を避けようとする人がいます。人材サービス会社を経営する40代独身のBさんは、次のように吐き捨てます。
「パートナーの男性には、養ってもらおうとか期待していません。それでも知的で強くて頼れる存在であってほしいです。頼りない人とは、一緒に仕事をするだけでも、かなり苦痛です。ましてや結婚して時間・空間をともにするなんて、考えたくもありません」
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