貧しくなった世界を「中国が牛耳る」という悪夢 ポスト・ウクライナのグローバル世界の行方

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中国とアメリカ
アメリカの存在感が薄まっていく中、中国が覇権をとる日が現実的になっています。その時、世界はどうなるのでしょうか(写真:barks/PIXTA)
今後プーチンが退場し、アメリカが衰亡した世界において、中国が覇権国となる日も現実味を帯びてきた。中国共産党が世界の「配分」を決める“悪夢”は現実のものとなるのか。
アメリカ衰亡の中で目立ってきた中国とロシアという2つの専制主義陣営のパワーにどう対抗すべきか。橋爪大三郎氏、大澤真幸氏、2人の社会学者による『おどろきのウクライナ』(集英社新書)では、文明論、宗教学、歴史、社会学と、あらゆる視座から検証し、白熱した討論が展開される。本稿では、ポスト・ウクライナのグローバル世界の行方を両氏が議論する(前回『巨大中国が「台湾侵攻」に踏み出す決定的理由』)。

自由主義陣営の味方はそう多くない

大澤:憲法に規定されていない中国共産党という組織が、世界を取り仕切るようなことになっていいのかという、橋爪さんの提起された問い、僕としては絶対「否」を突きつけたいわけです。しかし、長いスパンで考えたときに、必ずしもその答えがマジョリティではないかもしれないということに、僕は一抹の不安を覚えるんです。

橋爪:押しかけのODAやら資金提供やらで恩を売って、取り込んでいる国がたくさんあるからね、中国には。

大澤:そうなんです。仮に中国が世界で最大の強国になったとしても、アメリカが覇権を持っていたときとは大分違ったものになりそうな気がします。いい悪いは別として、アメリカは、民主化という自分のやり方を伝道するわけですよ。日本の占領統治のときを別にすれば、それはうまくいかないことも多いけれど、あくまで伝道という形をとる。

ところが中国の場合は、そういうタイプの衝動をもたない。はっきり言うと、中国共産党、チャイナセブン、あるいは総書記というのは、一種の皇帝みたいなものです。ですから、アメリカが民主主義を輸出するというのとは全然違って、昔から言うある種の朝貢国のような従属国をどんどん増やすことで自分の影響力を強くしていく。そういう構造になっている。

橋爪:昔からそのやり方は変わっていませんよ。

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