23年が債券ピッカー(Picker)の楽園になる訳 世界の中銀はインフレ抑制で金利を高水準に維持
米資産運用会社バンガード・グループのサラ・デベロー氏にとって最近の債券価格上昇は、バリュエーションに応じてクレジットのエクスポージャーを減らし政府支援機関(GSE)保証付き住宅ローン担保証券(MBS)を購入する機会だ。来年に債券ピッカーの楽園を約束する下地が整いつつある。
バンガード・フィクスト・インカム・グループの世界責任者デベロー氏は9日のインタビューで、「全ての投資がうまくいく状況ではなく、選択が重要になる」とし、「手元資金を維持しており、もっと魅力的な水準で活用できる」と語った。
バンガード・グループは12日公表した2023年見通しで来年の世界的なリセッション(景気後退)を予想。米金融当局や世界各国・地域の中央銀行がインフレ抑制で政策金利を高水準に維持すると見込んでいる。
デベロー氏によると、23年は債券にとって良い年となる方向だが、クレジット市場はまだ「難局を脱してはおらず」、スプレッドは拡大が予想される。ただデフォルト(債務不履行)は過去の景気下降に比べ軽度にとどまる見込みで、スプレッドが極端な水準に拡大することはないとみている。
「こうした状況下では適切な銘柄を選び、敗者を避けることが、勝者を見つけるのと同じくらい重要と考えられる」とし、「今はそのために素晴らしい環境だ。バリュエーションと質のばらつきが非常に大きいため」、惜しみない努力や細かい作業を通じて「膨大な価値を積み上げることが可能だ」と述べた。
デベロー氏によれば、GSE保証付きMBSはスプレッドが魅力的な水準に達したためバンガードは買い増している。米当局が利上げサイクル終盤に近づき米国債の変動性が低下すれば、それもこうした債券に追い風になるという。
社債では、格付けが高くバランスシートと現金収支が堅調で、景気に左右されにくい分野の企業を選好する。高格付け債と、ジャンク債の中の質が高い債券に対する志向を強めており、ローンや新興市場債など今年アウトパフォームした市場の一角については保有を減らす方針だ。
原題:Vanguard’s Devereux Cuts Credit Exposure, Buys MBS on Valuations(抜粋)
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著者:Caleb Mutua
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