内外債権大量保有で邦銀の金利リスクは危険水域 円金利リスク量は2002年度以降のピーク水準に

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金融庁は金融機関の有価証券運用について、海外金利リスクとともに、国内金利が上昇した際のリスクも注視していることを明らかにした。モニタリング体制を従来の2チームから3チームに拡充し、約152兆円に上る国債などの保有リスクに関して、一部地方銀行も大手行並みに厳しく検証を進めている。 

金融庁の屋敷利紀審議官はインタビューで、国債などの円建て債券は「多くの金融機関が大量に保有しているため、注意して見る必要がある」と指摘。「地域銀行を含めた銀行が、一時的にせよ多額の有価証券関係損失の計上を余儀なくされれば、個別金融機関に対する信認低下につながりかねない」と話した。

金融庁の屋敷審議官(2022年9月)Photographer: Kentaro Takahashi/Bloomberg

大手行や主要地銀は、国内金利の長期低迷を背景に購入を進めた外国債券が海外金利の急上昇で含み損を抱える。一方で超低金利を維持してきた日本銀行による金融政策修正・変更の観測も浮上しており、銀行が大量に保有する日本国債の金利・価格変動リスクが高まる可能性もある。

円金利リスクは高水準

屋敷氏は運用のスキルや中身よりも「リスクテークに見合った実効的な運用体制やリスク管理体制がしっかりと構築されているか、有価証券運用に対するリスクガバナンスが十分発揮されているか」などを検証する方針。日銀の金融政策にかかわらずモニタリングしているという。

日銀は10月の金融システムリポートで、金融機関の円金利リスク量は2002年度以降のピーク水準にあると分析。地域金融機関を中心とした保有債券の平均残存期間(デュレーション)の長期化が要因で、海外金利変動の影響を受け円金利リスクが拡大する可能性にも注意が必要としている。

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