北陸新幹線、その実力と残された課題とは?

開業初日に取材をしてわかったこと

国土交通省が行っている「旅客地域流動調査」では、平成24(2012)年度における、大阪府と石川県、富山県の相互間の旅客輸送人員(JR利用客)は、大阪府~石川県が67万600人に対し、大阪府~富山県が37万6500人。だいたい9:5ぐらいの割合となっており、私の実感を裏付ける。

関西~富山の流動は、対石川県と比べて少ないからと割り切られたのか。ちなみに同じ統計によると、東京都~石川県は39万4700人、東京都~富山県は44万8400人(いずれもJR利用客のみ)である。

北陸新幹線開業に伴い北陸本線の金沢~富山間は、第三セクターの「IRいしかわ鉄道」と「あいの風とやま鉄道」(両鉄道の境界は県境)の路線となり、JR西日本の路線ではなくなった。このため、従来の「サンダーバード」の利用客は自社の路線である北陸新幹線へ誘導したいという論理も、JR西日本が民間企業である以上、正当なものであろう。  

建設的に考えるのなら、運賃・料金を北陸新幹線開業前のレベルに抑えるための、何らかの割引があってもよい。サービスダウンは、できるだけ補わなければならない。

一方、地元自治体主導で設立された第三セクター鉄道も、JR西日本に遠慮することはない。IRいしかわ鉄道の列車は、金沢駅の在来線ホームに発着し、JR在来線列車との間に乗り換え改札はない。あいの風とやま鉄道へも直通する快速「あいの風ライナー」は、金沢~富山間を45分程度で走破しているから、23分の「つるぎ」との所要時間差は約20分。「サンダーバード」「しらさぎ」接続ダイヤとすれば、新幹線駅から離れた石動(小矢部市)、高岡、小杉(射水市)へなら、三セク経由が有利になるケースも出てくるだろう。

食と文化をアピールしたい北陸の観光

今回、3月14日に金沢、新高岡、富山の各駅をめぐってみて、いずれの駅でも新幹線開業を祝い、首都圏からの利用客を歓迎する熱気を感じることができた。北陸は元よりビジネス目的地、観光地として高い需要がある地域なので、新幹線開業による、いっそう大きな経済効果を期待するのも、よくわかる。

金沢と富山では、来訪者に無料で配られる「お土産」もいただいた。これも新幹線の開業時にはおなじみのもので、袋の中身は観光パンフレットが大半なのだが、少々驚いたのが富山駅で配られていたものの中にあった「とやまコシヒカリ(150g入りの無洗米)」と、「富山かがやき天然水(500ml入りペットボトル)」だった。

いずれも北陸新幹線の電車をあしらったパッケージで記念品として良く、長期保存も利くものであるが、何より試食した人の舌に富山の記憶を残すためには、米と水という基本的な食材はうってつけであろう。北陸は海や山の食材に恵まれている土地というアピールを行うにおいて、この選択はなかなかの好判断と讃えたい。

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