アップル「為替に左右されない価格」実現したワケ アプリの「サイドローディング」を牽制する理由

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アップル本社に開発者を招いた今年6月のWWDC22で舞台挨拶に出るティム・クックCEO。コロナ禍で限定的だったが、開発者との生の対話の機会を重視した(筆者撮影)

アップルはアメリカ時間12月6日から、世界中の開発者に対して順次、App Storeにおける新しい価格設定を適用することを明らかにした。

App Storeは、iPhone、iPad、Mac、Apple TV、Apple Watchといったアップル製品で動作するアプリを扱う市場となっており、アップルデバイス向けにアプリを作るサードパーティーの開発者は世界で3000万人を超え、180万本を超えるアプリが揃っている。

12月6日以降、開発者は最低金額0.29ドルから、最高9999.99ドルまで、700ものプライスポイントを追加する、より柔軟な価格設定を提供できるようになった。

為替に左右されない価格設定の実現

日本円ではどうなるだろうか。10円刻みの場合、最低金額は50円からで、最高2000円まで。100円刻みの価格を設定したい場合は、最低金額100円から最高15000円まで。500円刻みの場合は最低400円から最高49800円まで。日本円で最高のアプリ価格を設定できるのは50000円刻みの場合で160万円となる。

また日本円の価格設定で一般的な終わり方である890円や1980円、12800円といった価格設定にも対応した点で、アプリやサブスクリプションの価格が利用者にどんな印象を与えるかを考慮したマーケティングや価格戦略を展開することも可能となった。

今回のApp Storeの価格設定の刷新で、日本のユーザーにとってメリットとなりそうなのが、「為替に左右されない価格設定の実現」だ。

現在App Storeは175カ国で提供され、44の通貨にまたがっている。日本のアプリ開発者も、その国でのアプリ販売をONにするだけで、その国の通貨での販売をすぐにスタートすることができる仕組みだ。通貨が異なっていても、そのアプリの価格帯を揃えることで、開発者が為替の計算をする事なく、自動的に販売価格が決定される仕組みだった。

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