アップル「為替に左右されない価格」実現したワケ アプリの「サイドローディング」を牽制する理由

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しかしエピックゲームズが起こしたアップルの訴訟や、スポティファイ、ネットフリックスといったサブスクリプションサービスを提供する企業のアップル経由での課金の回避など、力を付けてきたサービスを中心に、アップルの手数料やストアの自由度の問題を指摘する声も強まってきた。

アップルも、2年目以降のサブスクリプション登録や、売り上げ100万ドル以下の開発者の手数料を15%に割り引く施策を打ち出したり、今回の価格設定の柔軟性を追加するなど、開発者の声を聞きながら、App Storeを開発者が信頼してくれるように努めている様子が目立つ。

一方で、ユーザーに対しては、iPhoneにおけるApp Store経由でのダウンロードを堅持することへの支持を勝ち取ろうとしている。日本をはじめとしてApp Store外からのダウンロードを許可するいわゆる「サイドローディング」の義務化の動きを牽制するためだ。

品質を毀損する「サイドローディング」

サイドローディングはアプリ市場における自由競争の環境作りにつながるかもしれないが、ユーザーにとって、マルウェアやスパイウェアの危険性を高めることになり、消費者のデメリットを増大させる。アップルがこだわってきたセキュリティやプライバシーという品質を毀損することになり、サイドローディングが消費者メリットにつながらないという主張だ。

開発者向けの施策と、消費者の安全性の保護を両立させているデジタル市場を維持することは、アップルがiPhone・iPadでこだわってきた、アプリによってデバイスの価値が何倍にも高まり、新たな活用法が切り拓かれるという成長の法則を持続させることであり、現在のアップルにとって非常に重要な戦略の要といえる。

1兆ドル、2兆ドル、3兆ドルというアメリカ市場最高の時価総額を次々に一番乗りで達成した原動力は、デバイスだけでは成し遂げられなかっただろう。優れたデバイスが消費者に受け入れられ、その消費者がアプリやサブスクサービスで継続的にアップルのプラットフォームで消費を続けるからであり、デバイスとApp Storeの両輪があってこそ、現在のアップルの価値が高められ続けているのだ。

そのため、デバイスの核心と同時に、開発者がより活躍しやすいApp Storeを維持していくことに、今後も力を入れ続けていくことになる。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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