北の鉄路切り捨て鈴木知事「夕張市長時の問題点」 「攻めの廃線」どころか、衰退が止まらない
北海道夕張市の衰退が止まらない。現在北海道知事を務める鈴木直道氏が夕張市長に就任した2011年からこの10年あまりで、市の人口は1万人台から6000人台に減少。約9億円あった税収も約8億円へと10%以上も減少した。一方で、2007年に財政破綻した市の借金の返済額は年間約35億円にのぼり、地方交付税など国からの交付金が今も支払いに充てられる。
鈴木氏は2008年に東京都庁から夕張市に出向し、その後30歳の若さで市長に就任。一時は「自治体再建のヒーロー」ともてはやされ、2019年「稼ぐ道政」を公約に掲げ北海道知事に初当選した。しかし、夕張市長時代にはJR石勝線夕張支線の攻めの廃線を実施したばかりか、市が所有していた観光4施設を格安で中国系資本の企業に売却したが、その後、4施設の運営会社は倒産。観光を基幹産業とする夕張市の経済は崩壊し「稼げない市政」を行っていたことは明らかだ。
攻めの廃線とは何だったのか
2016年8月、夕張市長だった鈴木氏はJR北海道の島田修社長(当時)と会談し、石勝線夕張支線、新夕張―夕張間16.1kmの廃線を自ら提案。いわゆる「攻めの廃線」として注目を集めた。
当時、JR北海道の経営問題が表面化する中で、JR路線の沿線自治体首長が鉄道存続に向けての危機感を強める中での廃線提案だった。その理由は、輸送密度が2015年は119人に減少し年間1億6000万円に上る営業赤字を計上していること。老朽化した鉄道施設の改修に億単位の費用がかかるということだった。鉄道の廃止と引き換えにJR北海道は夕張市に対して持続可能な交通体系を再構築するための費用として7億5000万円を拠出することなどを条件とした。
財政破綻した夕張市を応援しようと2007年秋に「SL夕張応援号」が運行された際には、全国から大勢の観光客が押し寄せ、夕張の街は大きく賑わった。こうしたことから「炭鉱と鉄道で大きく発展した夕張の観光の目玉にできないか」という市民の声もあったが、鉄道の活用による地域経済活性化の側面には目が向けられることはなく2019年3月31日限りで夕張支線は廃止され、翌2020年約10億6000万円の費用が投じられ南清水沢地区に公共交通結節点となる「りすた」が開業した。
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