北の鉄路切り捨て鈴木知事「夕張市長時の問題点」 「攻めの廃線」どころか、衰退が止まらない

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縮小

元従業員は「オーナーが変わったとたんに問答無用のリストラが始まった。2020年秋に最後に残った従業員は30名あまり。この時点で各施設を運営できる体制は崩壊しており、計画倒産だったとしか思えない。取引先に支払いの踏み倒しで迷惑をかけた」と話す。債権者は393人で負債総額は8億3000万円。一般債権者への返済はゼロだった。

現在は、この香港系ファンドが新たに設立した「夕張リゾートオペレーション」という会社がホテルなどの営業再開を目指すとしているが、会社の営業実態については不明な部分が多く本当に実現できるかは不透明なままだ。

相次ぐ国内大手企業の縮小撤退

中国系企業が夕張市を荒らしている一方で、市内に工場を置く国内大手企業の事業縮小や撤退が相次いでいる。

シチズン時計は、2020年、南清水沢地区でアナログ腕時計の歯車部品を生産する子会社夕張工場で希望退職者を募り事業を縮小する。2016年以降、「アップルウォッチ」に代表されるスマートウォッチが普及し始めたことで、特に1~3万円台の普及価格帯のアナログ腕時計の需要が大きく減少したことが理由だった。

しかし、マルハニチロは冷凍食品部門の業績が好調であるにもかかわらず、2021年3月末に沼ノ沢地区でフライやグラタンなどの冷凍食品を生産する夕張工場の閉鎖に踏み切った。同社広報によると「夕張は消費エリアから遠く交通の利便性の問題からも生産性が高いとは言えず、利益率の改善を目指し総合的な見地から生産拠点の集約を行った」という。同工場の閉鎖については昨今のトラックドライバー不足も関係しているといい、生産については直営の群馬工場のほか、グループ会社の札幌や熊本の工場に集約された。

中国系企業の夕張市での不動産の取得について、この問題を追及する元北海道議会議員の小野寺まさる氏は「日本の安全保障上大きな脅威になる」との見方を示している。

中国で2010年に施行された国防動員法は、中国政府が「有事だ」と判断した際に中国に関係する企業から民間人まであらゆる組織のヒト・モノ・カネを徴用できるというもので、こうして取得された夕張の不動産が中国人民解放軍の活動拠点となる懸念も指摘されている。2022年7月には中国籍の元留学生が中国人民解放軍による日本へのサイバー攻撃に関与した疑いで逮捕状が取られ国際手配された。

さらに、中国系企業の北海道での不動産取得については「夕張だけにとどまらず、留萌と釧路を結んだラインの南側エリアの爆買いが進んでいる」(小野寺氏)という。

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