マグロ競りが語る物価・賃金の好循環起きない訳 給料が大きく上がらぬ消費者にコスト転嫁難しい
吉善が千葉県で運営するすし店「吉恒」の西田理沙子店長は、生マグロを仕入れたのはだいぶ前の話で、今は予算内に収めるために冷凍マグロを購入していると言う。「いつまで続くんだろう。これで今年が値上がり最後ですというのがない」と語った。
吉恒では今年の夏に5、6年ぶりに値上げに踏み切ったが、客足が遠のいてしまう不安もあり主力商品の多くは価格を据え置いた。
同店を訪れていた看護師の三森希実さん(38)と両親の坂井敏郎・美枝子夫妻は、ハワイ旅行を計画していたが、円安であまりにもコストが上がったため取りやめたという。行きつけのすし店が一部の商品を値上げしたことについては「しょうがない」と言う美枝子さん。賃金が上がらないことが問題だと語った。
にぎり8貫茶わん蒸し付き900円は高すぎるか
三森さんの家族はすしが手頃な価格で提供される限り、これまでと変わらずこの店に通うつもりだ。
これは企業と消費者が物価の変化を徐々に受け入れつつある兆候だろう。もっとも、吉恒のような飲食店では値上げを巡る葛藤が続いている。
吉恒ではランチタイムに、マグロなどのにぎり8貫に茶わん蒸しが付いた特別メニューを900円で提供している。価格は何年も変わっておらず、外国人観光客にとっては超特価だろう。
ただ美枝子さんの受け止めは異なる。「安過ぎるとは思わないですけど」
原題:A Tale of Tuna Tells Story of Japan’s Inflationary Struggle(抜粋)
--取材協力:.
More stories like this are available on bloomberg.com
著者:野原良明
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら