米国株投資家が経済の厳しい現実見えていない訳 FRB政策転換にのみに意識を集中させる近視眼

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多くの投資家にとって12月の米株式相場はショッキングな展開となっている。7週間にわたる上昇基調に引き寄せられた投資家は、S&P500種株価指数が5営業日続落と、月初としては2011年以降で最長の下落局面となるのを目の当たりにしなければならなかった。

しかし、これはアメリカン・センチュリー・インベストメンツのマルチ・アセット戦略担当最高投資責任者(CIO)、リッチ・ワイス氏にとっては特に驚きではない。

同氏によれば、強気派は米金利政策へのこだわりが強いため、最終的にいかなる株高も消失させかねない経済の現実が見えていない可能性がある。 

S&P500種は7日に小幅下落。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が利上げペース減速を示唆したことを受けて11月30日に3%上昇したが、その後は毎営業日下げている。現在の株安局面の前は、企業利益見通しが下方修正され、住宅や製造業などの低調な経済指標が発表されていたにもかかわらず、同指数は7週間で14%上昇していた。

ワイス氏は「私が危険だと考えることの一つは、多くの投資家が現在痛々しいほど近視眼的に米連邦準備制度のみに注目し、政策転換がいつ起きるかに集中していることだ。そうすることで彼らには大局が見えていない」と述べた。

ワイス氏の考える問題とは、米金融当局が引き起こした新型コロナウイルス禍からの回復の記憶が現在の投資家の思考を支配しており、そうした投資家の多くは押し目買いの成功に慣れきっているため、株価の不安定な土台を無視していることだ。たとえ投資家が連邦準備制度の政策転換を歓迎しても、金利が低下するころには、株価が上昇するには経済が疲弊し過ぎているというのが現実だ。

S&P500種の10月半ばからの上昇は、リセッション(景気後退)の警告が一段と強まっている債券市場とは逆の状態だった。米長期国債利回りが短期利回りを下回る逆イールドはさらに拡大している。また、来年6月までの3四半期のうち、2四半期で企業利益の減少が予想されている。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)集計のデータによると、9月時点では、全ての期間で5%前後の増益が見込まれていた。

原題:Bruising Stock Reversal Shows How Fed’s Pivot May Come Too Late(抜粋)

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著者:Lu Wang

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