高価格帯シャンプー下克上、焦る花王の次の一手 新興ブランドが続々登場、シェアを拡大中
ヴィークレアの岸野洋之社長は、「ハチミツのコンセプトにあった品質やパッケージにこだわりを持っている。商品の成分や容器などの原価は他社と比べて高いが、広告費率を下げることで実現している」と語る。現在約40人いる社員のうち、約半分の20人程度が商品の企画開発に携わっており、商品開発を重視した体制だ。
岸野社長は「お世話になっている小売店さんでの限定施策なども検討している。今後お見せできると思う」と、小売店との関係作りにも意欲的だ。「プレミアムヘアケアカテゴリーの牽引役となっていきたい」と意気込みを見せる。
業界関係者によると、ヘアケア市場で拡大中のヘアオイル市場においては、この2年間ですでに「アンドハニー」が急激な成長を遂げ、トップシェアまで上り詰めたという(2022年10月取材時点)。
ステラシードの手掛ける「エイトザタラソ」も好調だ。ステラシードの大島美香社長は、「弊社の強みは商品力で、スキンケア発想のシャンプーというコンセプトワークが刺さった」と語る。売れた理由については「商品のリピート率が非常に高く、顧客やドラッグストア間で口コミが広がり、配荷先の店舗が増加したというシンプルな流れだ」という。
大手企業が反撃ののろしをあげた
「国内ヘアケア事業の構造改革、ここを立て直せないで花王の再興はない」
2022年8月に開催された花王の決算会見で長谷部佳宏社長は厳しげに語った。長谷部社長は「国内ヘアケア事業はシェアが高く利益も大きかった。待ったなしに改善しなければならない」と焦りを見せる一方、「今までやってこなかった手を打つ」と挽回策も示している。
押され気味のデジタルマーケティング施策については、「海外で戦っていた個性あるプレミアムブランドを日本に投入し、デジタルを活用した今までと違うやり方をお見せする」(長谷部社長)と述べる。自社ECサイトでの直販など、従来のTVCMを主軸としたマスマーケティングとは異なる戦い方で挑むようだ。
既存ブランドの改革も行う。低価格帯の「エッセンシャル」からは、1000円程度の新ライン「エッセンシャル ザ ビューティ」を2021年に発売した。髪のキメに着目したコンセプトを打ち出し、パッケージも大きく変更している。新興企業のインパクトのある商品群に店頭で勝てるかが焦点だ。
ユニリーバの「ラックス」やP&Gの「パンテーン」にシェアが押され始めた時代、花王は「エッセンシャル」ブランドの再構築を成功させることで息を吹き返した過去があるため、期待を寄せているという(花王のヘアケア事業担当者)。
資生堂が2006年に発売した「ツバキ」からは、1000円程度の新ライン「黒ツバキ」が2022年9月に発売された。「ダメージケアのコンセプトがこの価格帯で少なかった」(ファイントゥデイ資生堂)という背景から新シリーズを開発。マーケティング方法に関しても、従来主流であったTVCMに加え、発売前に実施したSNS企画が反響を呼び、初動は想定以上の滑り出しだという。
大手ブランドがシェアを奪い返せるか、意地の見せどころだ。
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