イオン大型「冷凍食品専門店」で売れる意外な商品 2000円前後のビーフシチューや参鶏湯が売れ筋

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午前中は年配の客、昼は主婦、夕方は仕事帰りの客といった具合に、幅広い客層がさまざまな時間帯に分散して訪れる。繁閑の波は品出しなどのオペレーションにも関わるため、同店で得られたこれらのデータは今後の店舗づくりを左右するだろう。

「ここにしかない商品」で差別化を図る

売り上げに関しては想定以上の数字を得られたが、目新しさがなくなっても客数や売り上げを高めていくことが今後の課題となる。棚の改廃で売場の鮮度を維持するとともに「ここにしかない商品」によって差別化を図っていくとする。

イタリア直輸入のピザやアイスも同店の目玉商品(撮影:風間仁一郎)

その1つとして、今回の出店に合わせオリジナル商品の開発も行っている。

東和フードサービスが運営するチェーン「イタリアンダイニングDONA」のメニューがそれだ。同チェーンはイオン東雲店にも店舗が入っているところから、共同開発の話が進んだようだ。

また、冷凍食品市場の拡大と切っても切れない販売チャネルがECである。

冷凍食品専門店の立地においては、冷凍食品を持ち帰れる圏内の人口が重要であるが、配送できるECであれば距離は関係なくなる。前述のピカール、TŌMIN FROZENともにオンラインショップも展開している。

@フローズンでは専用のオンラインショップは開設していないが、隣接のイオンスタイル新浦安のネットスーパーにて@フローズンの商品が購入可能とのことだ。ただしイオンスタイル新浦安の配送エリアが対象となり、品目も限定されるようだ。実際に当該のネットスーパーを確認したところ、@フローズンの商品は386種類販売されている。

@フローズンの実店舗については、将来的に多店舗展開を視野に入れており、浦安と同様に客層が幅広くかつ人口が多い立地を狙って物件を探していきたいとしている。なお、既存店舗の中でも冷凍食品売場を広くとれる店舗については、一部@フローズンの商品を品ぞろえに加えることも検討しているそうだ。

以上、冷凍食品専門店として最大規模となる、イオンの取り組みについて見てきた。店舗が増えていけば、広がりつつある冷凍食品市場にさらに面白い動きが生まれてきそうだ。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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