麻布中の入試に「政府の人権侵害」が出題された訳 社会課題を映し出す鏡としての中学入試問題

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そこに関連して、「日本に働きに来た外国人とその家族の人権を守るためには、どのような政策や活動が必要だと考えられますか。君が考える政策や活動の内容とそれが必要である理由を、80〜100字で説明しなさい」と求めます。

自分の考えを書かせるわけですから、あらかじめ決められた「正解」なんてありません。知識の暗記では到底太刀打ちできません。その場で、誠意を込めて自分の考えを書くしかありません。ただし、現状の何が問題なのかは、問題文の中にヒントがたくさんあります。そこを改善する案を自分なりに考えればいいのです。先生が思いの丈をぶつけた文章に、受験生が誠心誠意応えるわけです。この点で、中学入試問題は、「学校からのラブレター」ともいわれています。

「政策」や「活動」など切り口は多様にある

たとえば「政策」の観点からいけば、「技能実習生は現在、短期の低賃金労働者として扱われている実態がある。日本で暮らしている以上、日本人と同等の最低賃金はもらわないと人間らしい生活ができない。技能実習生であっても、日本人と同程度の最低賃金を保障する法律をつくるべきだ」というのが1つの答え方です。

「活動」の観点からいえば、「日本に来てまだ日が浅い外国人は、まず日本語という言葉の壁で苦労する。日本語の習得のために借金を抱えてしまうこともある。安価な日本語教室が必要だ。彼らを少しでもサポートするために、地域の人々で安価または無料の日本語教室を開くべきだと思う」という答え方ができるでしょう。

人間らしく文化的に生きる権利を社会権といいます。それが憲法25条に書かれていることを、中学受験生は学んでいます。そこでたとえば、「地域社会の中で安心して暮らせることも人権の一部だと思う。外国人労働者とその家族が地域社会に溶け込んで安心できるように、地域の自治会で、外国人向けの交流会を開催したり、逆に彼らに外国語を教えてもらう機会を設けたりする活動が必要だと思う」というのもありでしょう。

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