日本人が「リノベーション」しかできない深刻問題 問題解決の前に課題を「発見する能力」が必要
どんな不便な地域でも呼んだらすぐに来てくれて、タクシーよりも安く利用できる。しかも車を持っている人にとってはお小遣い稼ぎになる。Uberは世界をよりよくする問題を見つけて解決したのは間違いないでしょう。
そのような世の中の人が諦めている問題は、いくらでもあります。
日本でも、最近は鉄道やバス路線が次々と廃止されて移動交通手段がなくなった地域が増えています。これからUberの需要が出てくるかもしれません。
日本企業はなぜ弱いのか
私は、日本でイノベーションを起こせたといえるのは、ソニーのウォークマンだけではないかと考えています。
ウォークマンの誕生秘話はご存じの方も多いでしょう。
ソニー創業者の井深大氏が海外出張に行く際に、機内にカセットレコーダーを持ち込んで音楽を聴いていましたが、重すぎるので「もっとコンパクトなものをつくってほしい」とテープレコーダー事業部に話を持ちかけました。
井深氏はその試作機を気に入って、同じく創業者の盛田昭夫氏に貸したところ、盛田氏も「これは面白い」と乗り気になり製品化したというエピソードがあります。
これも、他の人が諦めている問題を発見した例です。
飛行機で、他の乗客もいる中で音楽を聴こうとは誰も考えていませんでした。当時は機内で映画も観られなかったので、本を読むか寝るしかありませんでした。
そのような時代に、「音楽を外に持ち歩けて、どこでも自由に聴ける」という製品を開発したのです。ウォークマンは世界中で爆発的なヒット商品になり、若者の音楽カルチャーを変えました。
日本では、後にも先にもそこまでインパクトのある製品は生まれていません。
松下電器産業(現パナソニック)やホンダ、トヨタも世界的に認められている企業ではありますが、既にある製品を改善・改良することに長けていたのだと思います。つまり、「リノベーションの天才」だったのです。
戦後アントレプレナー(起業家)は大勢生まれましたが、自分で何かを開発したというよりは、リーダーシップを持って会社を興して大きくしていったというほうが正しいでしょう。
人口が増え続けて、経済が上向きの時代ならリノベーションでも十分、会社を引っ張っていけました。しかし、今のように少子高齢化が進み、経済成長が30年ほど止まっている国でリノベーションしか生まれないのは、かなり危機的状況です。
だからイノベーションを生み出す人を育てていくしかないと考え、私は 来年1月からYouTubeで「高岡イノベーションサロン」という学びの場を始めます。
リノベーションしかできないのは、やはり問題発見ができていないからです。
すでにある製品やサービスの問題点を見つけて改良するのも、人々の暮らしを便利にすることにはなるでしょう。
ただ、リノベーションは自社以外でも発見し、改良できる問題です。リノベーションしかしてこなかったから、日本はいつの間にか国際競争で負けていたのです。
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