日銀保有国債が異次元緩和下で初の含み損に転落 米欧金利上昇に伴い上期決算8749億円の含み損
日本銀行が保有する国債の評価損益は9月末に8749億円のマイナスとなった。米欧がインフレ対応で利上げを進める中、日本の国債金利も上昇(価格は下落)したためで、2013年4月の異次元緩和導入以降、含み損への転落は初めて。22年度上期決算を28日に発表した。
日銀はイールドカーブコントロール(長短金利操作)政策の下で長期金利をゼロ%程度に抑制するため、低利回り・高価格の国債買い入れを続けてきた。最近の海外金利上昇につれて、日本の長期金利も事実上の上限に設定する0.25%程度に上昇。誘導対象ではない超長期債の利回りも大きく上昇している。
会計上、日銀の保有国債の評価方法は償却原価法となっており、時価が変動しても損益には反映されないが、発行済み国債の半分程度を日銀が保有しており、日銀財務の健全性に関する議論が高まる可能性がある。保有国債が含み損になるのは、量的緩和政策の解除で金利が上昇した06年3月末以来となる。
上場投資信託(ETF)の評価益は9月末で11兆1151億円となり、3月末の14兆6854億円から縮小した。最終利益に当たる当期剰余金は円安進行などを受けて1兆5924億円と前年同期の1兆529億円から増加し、1998年施行の新日銀法下で最高となった。
他のポイント
- 総資産残高は685兆7902億円、前年同期は724兆579億円
- 保有国債残高は545兆5211億円、前年同期は528兆295億円
- 経常利益は3兆59億円、前年同期は1兆3061億円
- 国債利息収入は6003億円、前年同期は5525億円
- 自己資本比率は9.90%、3月末は9.29%
(詳細と説明を追加して更新しました)
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著者:伊藤純夫
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