W杯が援軍?岸田首相「次の一手」に広がる疑心暗鬼 麻生・茂木両氏と密談、内閣改造か解散か

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ただ、側近は「首相は心身が疲弊しても、自信は失っていない」と明言する。早い時期の大幅人事や解散の断行については「結果的に自らの首を絞めるだけ」(首相経験者)との見方が少なくない。「人事をやっても必ず問題閣僚が浮上するし、解散すれば自民の議席減で責任を問われるだけ」(自民長老)だからだ。

その一方で「人事や解散をにおわせば、首相攻撃を控えざるをえないのが議員心理」(同)でもある。だからこそ、岸田首相周辺からは「右往左往せずに内政・外交の難題克服に邁進すれば、党内の批判も収まる」(同)との声が広がるのだ。

密談は「政権中枢での意思統一を図った」との見方

岸田首相は24日午前、首相官邸で年末年始に内閣改造や自民党役員人事を検討しているか総理官邸で記者団に問われ、「私自身そうしたことはまったく考えていない。いまは国会に専念しなければいけない。そして年末に向けて防衛3文書の改定をはじめ、さまざまな政治課題があり、そうした課題に専念していかなければならない」と淡々とした表情で語った。

前日の23日午後、岸田首相は首相公邸で茂木氏と会談したが、官邸側はこの会談を「極秘」扱いとしていた。しかも、岸田首相は引き続いて最側近の根本匠岸田派事務総長とも会談しただけに、自民党内には「今後の政局運営について、政権中枢での意思統一を図った」(自民長老)との見方が広がった。

この23日夜には、サッカーW杯の日本代表の初戦が行われ、4度の優勝を誇るドイツを大逆転で破る「大金星」に列島が沸いた。岸田首相は24日朝、記者団に感想を求められると「私もテレビで観戦した。チーム力、個々の力、さらには監督の采配が発揮された素晴らしい試合」と満面の笑顔で語った。

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