W杯が援軍?岸田首相「次の一手」に広がる疑心暗鬼 麻生・茂木両氏と密談、内閣改造か解散か

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しかし、首相を支える立場の自民党執行部内にも、「このまま自滅の道をたどるより、臨時国会後に大幅な党内閣人事で人心を一新し、そのうえで年明けの解散断行で一か八かの勝負に出るべきだ」(有力幹部)との声が消えないのも事実だ。

さらに、「勝負のタイミング」についても、党・内閣人事が「年末」「通常国会召集前」「来年度予算成立後」、衆院解散が「年末から年明け」「4月の統一地方選と同時」などの具体案が取り沙汰され、多くの与野党国会議員も「ひょっとしたら……」(立憲民主若手)と身構える。

そもそも首相は大方の予想を覆し、8月に党・内閣人事を断行した時点で、①次の党内閣人事は1年後の2023年夏、②解散権は環境が整わないかぎり2024年9月の次期自民党総裁選まで行使しない、との戦略を固めていたとされる。

ただ、それは「党内の反岸田勢力を取り込み、総理・総裁としての求心力を維持することによる政権運営の安定化」(岸田派幹部)が大前提だったとされる。このため、「臨時国会召集前後からの人事や政策を判断する際の迷走で、党内的にも『宰相の資質』が問われる事態は想定外」(同)なのは間違いない。

「今はちょっと孤独でつらいときもある」

岸田首相自身は、一連の国際会議出席のための東南アジア歴訪から帰国後、連日連夜、麻生、茂木両氏や公明党の山口那津男代表ら与党最高幹部と「密談」を繰り返す一方、反岸田勢力の“旗頭”とされる菅義偉前首相、二階俊博元幹事長への「協力要請」に腐心している。

腹心の寺田稔氏の総務相更迭直後の11月21日夜、母校の早稲田大学出身の国会議員らとの会合では「今はちょっと孤独でつらいときもある」と“弱音”を吐露。同席した森喜朗元首相から「首相は孤独な立場だ」と激励される一幕もあったという。

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