ジム・ロジャーズ「日本は英国のように没落する」 ワタミの渡邉美樹氏が「日本の深刻度」を聞いた
渡邉:では、金や油田が見つからなければ、日本はどうすればよいでしょうか。
ロジャーズ:日本がいざ潰れてしまったときはじめて、人々はやっと渡邉さんやほかの警鐘を鳴らしていた人が言っていたことがわかるでしょう。しかし、私は改革を提言する最初の人になることはおすすめしません。国民は「こんなに厳しいのはできない。やりたくない」というからです。しかし、3人目、4人目が出てきたときには、国民がようやく慣れてきて、その言葉を聞いてくれるかもしれませんね。
日本の問題を「自らの問題」として解決せよ
渡邉:地政学的に今後の世界をどのように見ていますか?
ロジャーズ:以前から言っていますが、私は、いちばんの脅威はアメリカだと感じています。アメリカは戦争が大好きです。独立して以来、15年ほどの期間を除いてずっと戦争をし続けてきたと言ってもいいくらいです。私に言わせれば、1945年が戦争に勝った最後の年で、あまり最近は戦争が得意ではありませんね。
しかし、アメリカの経済が悪化していく中で、今後、政権が戦争をするタイミングを探しにいくのではないかと危惧しています。現在のウクライナ情勢に関しても、私は発端をつくったのは、アメリカの政権からではないかと思っています。例えば、戦前の1941年にもアメリカは日本を世界の貿易から事実上締め出しました。アメリカがどこかの国や地域に喧嘩を売り、パンチをし続けたら、相手もどこかで相手も反撃をする可能性はあるのです。
私は今年ではなくても、やがて日本にもこうしたショックが降りかかると思います。そのときに、どういった思想の人がトップに上り詰めるのか、興味があります。
今の日本は、危機に陥る中でアメリカの言いなりになっているのではないでしょうか。景気が悪化する中でも、さらにアメリカに頼る傾向があると言わざるをえません。それは決して正しいことではありません。
このままでは、日本はアメリカの政権が将来引き起こす戦争の巻き添えを食らってしまう可能性が非常に高いと感じます。日本は何か問題があると、「アメリカはどう考えているのか」とすぐに気にするのではなく、アメリカから完全に自立するべきです。「これは日本、東京の問題だ。われわれが解決するんだ」と気づくべきです。
渡邉:残念ながら、今は、日本の将来に対する多くの警告に対して、ほんのひと握りのひとしか、反応をしてくれません。
ロジャーズ:賛同してくれる人が多くなるように変えていくには非常に長い道のりで、われわれは努力をしていく必要がありそうですね。
イタリア料理ひとつとっても、私は世界中のイタリアンレストランの中でも東京のレストランが最高級の品質だと思っています。このように、日本人は何かをやるときは世界一級クラスです。しかし、このままでいくと、破綻をするときにも一級クラスの破綻になるのではないかと恐れています。その前に私たちの警告に気づき、行動を起こしてくれる日本人が増えることを願っています。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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