ジム・ロジャーズ「日本は英国のように没落する」 ワタミの渡邉美樹氏が「日本の深刻度」を聞いた
渡邉:私は2013年のアベノミクスの負の影響が非常に大きいと思っています。日銀の大規模な金融緩和とは、平たく言えば、お金を刷りまくったと言っても過言ではありません。このまま金融緩和を続け円安が定着すると、日本は潰れてしまうと思います。
この状況から脱却するためには、経済成長しかありません。そのためには、規制緩和を徹底的にやり、農業など将来性のある分野に力を入れるべきだと思います。そのために参議院議員にもなり、6年間必死で戦ったつもりですが、残念ながらうまくいかず、日本は変わることができませんでした。
ロジャーズ:あなたの言っていることはまったく正しく、日本はすぐにそれをやるべきなのです。あなたが立ち上がっても何もできなかったというのは、まさしく今の日本の問題そのものなのです。多くの人々がフリーランチを食べ続けたいと思っているのです。
渡邉:多くの政治家は、厳しい改革をすることに消極的で、選挙民に甘い言葉を投げかけ、いつまでも政治家で居続けたいのでしょう。そのためには将来のことなど二の次にしておき、借金を続けるしかありません。今の日本を見ていると、ブレーキの効かない車が崖に向かっているように感じます。
ロジャーズ:私は日本の力が衰えて、将来、中国が日本をのっとってしまうのではないかと危惧しています。日本の企業が衰退する中で、今後、中国の企業がどんどん日本に入ってくるでしょう。あなたも日本食ではなく、今後は中華チェーンをやったほうがよいかもそれませんよ(笑)。
多くの日本人は中国企業で働くようになり、日本人は中国人と結婚をするようになるでしょう。やがて「中国語を話せれば日本で成功できる」ということが浸透すれば、中国語を学ぶ人が増えます。その未来は皆が望む未来ではないでしょうが、歴史的を遡ると私は不可避だと感じます。
日本が英国のようにならないという保証はどこにもない
渡邉:日本の困難は、いつまで続きますか。
ロジャーズ:例えば、「来年すぐに破綻」ということはありません。しかし、破綻を予測している賢い人たちは、資産の自己防衛や、中国向けのビジネスを始めるなどとといった自分なりの準備を早く進めるべきでしょう。国民が「何かがおかしいのは国のせいだ」と気づいたときには不満が爆発して、手遅れになるからです。
日本の円は、1960年代以降の「英国病」(第2次世界大戦後、同国で高インフレ率と経済のマイナス成長と社会福祉費などの増大による生産性低下などが同時進行した現象)に悩まされた英国同様、今後もジリジリと安くなるでしょう。しかし、一般の英国人が気づく前から通貨のポンド安は始まっており、気づいたときには遅すぎました。1976年にはポンド防衛のためにIMF(国際通貨基金)に金融支援を求めるという事態に陥ったのです。
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