鉄道各社が趣向を凝らす、電車「方向幕」の秘密 小さなスペースで行き先をわかりやすく伝える

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名城線の行き先表示は「右回り」(筆者撮影)

列車の終着駅や経由先を表示して、旅客に案内をする「行き先表示機」は、少し前までは箱の中にフイルムのようなロールが設置され、そこにさまざまな駅名が印刷されており、それを回転することによって、表示を変えていた。つまり、「方向幕」であり、英語では「ロールサイン(Roll Sign)」と呼ばれる。

この方向幕、基本的には「終着駅」を表示させるものだが、路線や鉄道会社ごとに表示の仕方が異なる。限られたスペースの中で、正確な情報を利用者に伝えるために工夫しているからだ。それだけに、一見変わった表示の仕方や、なるほどと思うような表示など、奥が深い。そんな方向幕の中でも気になったものをいくつか紹介する。

色別で行き先を分ける鶴見線

鶴見線は神奈川県の鶴見駅と扇町駅を結ぶ路線と、途中の浅野駅で分岐する海芝浦支線、武蔵白石駅で分岐する大川支線がある。もともと京浜工業地帯への工員輸送を目的とした経緯もあり、細かく線路が伸びていて支線が多い。

平成の半ばに103系を使用していた時期の方向幕は、支線ごとにベースの色が異なっていた。扇町方面が「赤」、海芝浦行きが「青」、大川行きが「黄」である。ちなみに集約駅である「鶴見」は、通常の「白地」ベースとなっており、鶴見駅から発車する電車は、行き先を色で判別できるようになっていた。

鶴見線は日中20分ヘッドで運行されているのだが、行き先ごとで考えると、1時間以上も空いてしまうことある。そういった事情から、鶴見駅で乗り間違いをしないようにした配慮だと思われる。

ちなみに現在は103系に代わり205系が運行するが、LED式の行き先表示機になっても、電光の色で、行き先分けを行っている。

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